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損害保険の事故調査にドローンを利用?!気をつけるべき法律は?【航空法】

ロボット・AI・ドローンの法律

損害保険の事故調査とドローン

自動車事故や火災が起きた場合に、損害保険の事故調査を行うためにドローンを利用することが進められています。

損害保険会社は、自動車事故等の保険金支払のために事故の調査・検証を行います。この事故調査において、ドローンを用いることによって、特に人の立入りが難しい場所の調査を行ったり、上空から撮影をしたりすることで事故調査を迅速に行うことが可能となります。

例えば、損害保険ジャパン日本興亜は、大規模火災の損害調査にドローンを使用したり、水中事故の損害調査に「水中ドローン」を導入するなどが進められています。

このような場合、航空法やその他の法律においてどのような点に注意すべきでしょうか。

航空法について

航空法の観点からは、飛行空域及び飛行方法について国土交通大臣の許可・承認が必要かを確認する必要があります。

まず、飛行する地域が人口集中地区にあたる場合には、周囲がドローンの飛行に安全な環境であっても、国土交通大臣の許可が必要です。

また、事故調査のために地上・水上の人または物件との間に30m以上の距離を保つことが難しいような場所で飛行を行う場合は、国土交通大臣の承認が必要となります。

さらに、操縦者から見えない崖下等を撮影しようとする場合は、目視外飛行について国土交通大臣の承認が必要となります。

事故がいつどこで発生するかわからないので、事業者としてはこのような許可・承認を広い地域及び時期について得ておくことも考えられます。

許可・承認は、原則として3か月以内、最大で1年まで得ることができますし、何回もの飛行に対応した包括承認を得ることも可能です。

ただし、許可・承認の取得に際しては、ドローンの飛行経歴や飛行させるために必要な知識・能力が求められますので、そのような操縦者が確保できる状況において初めて許可・承認が得られることを認識しておく必要があります。

ドローンの法律についての解説記事は、ドローン(ホビードローンを含む)を飛ばす際に注意するべき法律まとめを参照してください。

個人情報の保護

飛行の目的が事故現場の撮影であったとしても、撮影時に人物が映り込み、それが識別できる程度に鮮明であることにより特定の個人を識別できる場合は、個人情報保護法上の「個人情報」にあたります。

よって、事業者は、個人情報保護法を遵守する必要があります。

この場合には、個人情報に関する利用目的の特定や、取得に際しての利用目的の通知等についても対応が必要となります。

具体的には、周囲の環境が人・物の映り込みが生じそうな場合であれば、事前に飛行・撮影目的を周辺住民等に周知させたうえで、撮影当日も目的を掲示するなどの対応をとることが考えられます。

土地の利用について

飛行に際しては、事故現場の上空だけでなく、道路上や他人の土地の上空を飛行することもあり得ます。

そこで、道路上空でのドローンの飛行が道路交通法に基づく道路使用許可が必要かが問題となります。

単にドローンを利用して道路上空から撮影を行おうとする場合、警察庁は、道路使用許可が不要であることを明らかにしています。

ただし、交通の円滑を阻害するおそれがある工事・作業をする場合は、例外的に道路使用許可が必要であるとしていますので、道路上で離着陸をすることで交通の円滑を阻害するようなことがないように留意する必要があります。

また、ドローンが他人の土地の上空を飛行する場合に、当該土地所有者の同意を得ずに飛行できるかが問題となります。

もちろん、住宅地のようにその土地の所有者や利用者が明らかな場合は、可能な限り同意を得たうえでその上空を飛行することが、後からクレームならずに、実務上は良いと思います。

しかし、山間部等では土地の所有者がすぐにはわからないこともあります。このような場合、可能な限り所有者の同意を得るように努めつつも、すべての所有者の同意が得られなくても、その土地利用を妨げない範囲で上空を飛行することが許容される場合はあるという理解で良いと思います。