IT法務や仮想通貨、ICO、AIの法律に詳しい弁護士|中野秀俊のホームページです。 IT法務や仮想通貨(ICO)、AIなどのITビジネスを専門に扱う法律事務所です。
グローウィル国際法律事務所
10:00~18:00(月~金)

【旅行業法など】インバウンドサービスなどの旅行系ベンチャー企業が気を付けるべき法律を弁護士が解説

IT企業のための法律

旅行業界のオンライン化

旅行業界については、近年、オンライン化が進んでいます。

オンライン予約サイトについては、数多くサービスが生まれていて、例えば「JTB」や「HIS」などの大手旅行会社をはじめ「じゃらん」、「楽天トラベル」、「一休」や「Booking.com」、「エクスペディア (Expedia)」、「トラベルコ」など、様々なサービスが起ち上がっています。

また、ARやVRの活用も盛んに行われています。

HISでは、動く旅行パンフレットを開発し、小型無人飛行機「ドローン」で撮影した映像が「飛び出すように動く」デジタルパンフレットを開発しています。

HIS、動く旅行パンフレットを開発、ドローン空撮映像を拡張現実(AR)アプリと連携で

JAL国際線ラウンジには、VRを活用したサービスを導入しました。

【JAL国際線ラウンジのVRを活用した実証実験のアンケート結果報告】

「旅行業」の登録が必要な場合

旅行業法においては「旅行業登録」が必要な場合が決められています。

募集型企画旅行

募集型企画旅行とは、旅行者のために予め旅行に関する計画を作成し、計画に必要な運送手段や宿泊施設について、自己の費用でサービス提供者と契約を締結した上で旅行者に販売する行為をいいます。

例えば、ウェブサイト上で、パッケージツアーや日帰りツアーを販売する場合は「募集型企画旅行の販売」に該当します。

受注型企画旅行

旅行者からの依頼を受けて旅行に関する計画を作成し、この計画に必要な運送手段や宿泊施設について、自己の費用でサービス提供者と契約を締結したうえで、旅行者に販売する行為をいいます。

いわゆる、旅行者のニーズに合わせて、オーダーメイド型のパッケージ旅行を販売すると、この類型に該当します。

インバウンドサービスで必要な法律

現在、東京オリンピックに向けて、訪日外国人をターゲットにしたインバウンドサービスを展開しているところが数多くあります。

このようなインバウンドサービスで、必要になる法律は、どのようなものでしょうか?

旅行業法

上記でも解説しましたが、旅行業法は、気を付けるべき法律です。

旅行業法では「旅行業」の定義の中に、以下のような規定があります。

第二条
この法律で「旅行業」とは、報酬を得て、次に掲げる行為を行う事業(専ら運送サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送サービスの提供について、代理して契約を締結する行為を行うものを除く。)をいう。

第九条
旅行に関する相談に応ずる行為

ここでいう「旅行に関する相談」とは、以下のようなことを言うとされています。

「旅行に関する相談」

旅行者の委託により、以下のことを引き受けることをいいます。

  • 旅行の計画の作成
  • 旅費の見積もり
  • 旅行地や移動手段、宿泊地の情報を提供

ここでいうポイントは、「旅行者の委託により」という部分です。

例えば、訪日外国人から依頼を受けて、旅行プランを作成をすることは「旅行相談」に該当します。

そして「旅行業」の「業」とは、反復継続的に行うこととされています。また、報酬を得て行えば、基本的に「業」に該当するといっていいでしょう。

一方、自らの考えた旅行プランをサイトやアプリ上に公開するのみであれば、「旅行相談」ではありません。

通訳案内士法

通訳案内士とは、報酬を得て、通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすることをいう。以下同じ。)を行うことを業とする人のことを言います。

従来、通訳案内をする場合には、通訳案内士の登録が必要がされていました。しかし、2018年1月4日の改正通訳案内士法が施行され、通訳案内士の業務独占が撤廃されました。

よって、通訳案内士の資格がなくても「通訳案内」できるようになっています。

道路運送法

訪日外国人に、送迎サービスをする場合には、道路運送法がかかわってきます。

一般貸切旅客自動車運送事業

旅行者と契約を結び、車両を貸し切って運送する事業をいいます。バス移動などが、この類型です。

一般乗用旅客自動車運送時事業

乗用定員が10人以下の車両について、車両を貸し切って運送する事業をいいます。タクシーなどが、この類型です。

よって、旅行者の要望を受けて、自動車を送迎する場合には、上記事業に該当し、許可が必要です。

住宅宿泊事業法(民泊新法)

訪日外国人に、自分の家を貸すなどの事業をしたい場合には、住宅宿泊事業法(民泊新法)の規定を遵守する必要があります。

いわゆる、民泊のホスト側(住宅宿泊事業者)は、都道府県知事に対して「届出」をすることが必要です。

「届出」ですので、行政からの審査などはなく、必要事項を記載して行政に提出すれば、民泊(住宅宿泊事業)を運営することができるようになります。

届出内容

民泊を運営するためには、下記内容等を届け出る必要があります。

  • 住宅宿泊事業を行う者の氏名住所
  • 当該住宅の所在地
  • 図面の添付
  • 民泊のホスト側が守るべき事項

一民泊の営業日数の上限は、180日以内とされました。また、この他にも、以下のような規制が設けられました。

  • 住居の床面積に応じた宿泊者数
  • 住居の衛生管理
  • 外国人観光客向けの住居提供については、外国語による説明や案内をすること
  • 宿泊日数の定期的な報告

以上のように、民泊のホスト側としては、様々な規制がかけられることになります。

そして、民泊のホスト側が気を付けるべき事項としては、下記に該当する場合は、民泊運営を代行する会社(住宅宿泊管理業者)に委託することが求められます。

  • 届け出をした住宅の部屋数が、民泊ホストとして対応できる適切な管理数を超える場合
  • 届け出た住宅に宿泊者が滞在する際、不在となる場合

ただ、不在となる場合には、民泊のホスト側が、自身が生活している住居と上記届出をした住宅との距離などを勘案して、委託の必要がないと認められる場合は、代行会社への委託は「免除」されます。

民泊のホスト側に対する監督

民泊のホスト側には、行政からの監督が行われます。これは、上記届出をした住宅に対して、立ち入り検査という形で行われます。

行政は、一般市民からの声に敏感なので、近隣住民から「180日を超えて、民泊営業しているのでは」と行政に通報されたら、行政からの監督があるかもしれません。

法律違反の罰則

民泊のホスト側が、行政に対して、虚偽の届出をした場合には、6月以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。

その他、法律上の義務を守らない場合には、業務停止命令などの措置も取られます。

インバウンドサービスは、法律に注意を

上記のように、インバウンドサービスは、様々な法律がかかわってきます。

インバウンドサービスをする事業者は、法律に注意して、事業を行うようにしましょう。