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トラブルを防ぐ!業務委託契約書で最初に確認すべき4つのチェック項目
今回は業務委託契約書を結ぶときにチェックするポイントを解説します。
私は企業法務専門の弁護士であり多くの企業からご依頼をいただくのですが「業務委託契約書を受け取ったけど、どこをみればいいですか?」と聞かれることが多いので、「とりあえずここだけ確認しておけば大きなトラブルにならない!」というポイントをお伝えしたいと思います。
業務委託契約とは
業務委託契約とは、コンサルティングや制作・作業依頼などの何らかの業務を委託する際に締結する契約です。
業務委託契約は非常に幅が広く、もっともポピュラーな契約といってもよいでしょう。フリーランスの方がお仕事をいただく場合なども業務委託契約となります。
たとえばフリーランスの方が企業からお仕事をいただく際に契約書を渡されたけれど「よくわかんないな」となると困ってしまいます。
弁護士に相談しようと思ってもなかなか近くにはいない場合も多いと思うので、「じゃあここだけ見ましょう!」というポイントを4つご紹介したいと思います。
業務委託契約書で確認すべき4つのポイント
1)契約形態
1つ目のポイントは契約形態です。
業務委託には主に「請負」と「準委任」の2つの形態があります。
請負とは何らかの成果物を納入する場合です。たとえばシステム開発などでソフトウェアを開発して納入するといったケースになります。請負では成果物の納入後に報酬が支払われます。
準委任とは成果物はなく作業分を請求するような場合です。自分が行った作業について時間は何時間、単価はいくらといった形で請求をします。
たとえばコンサルティングは準委任にあたります。成果物というよりもアドバイスをした分を請求する形になるわけです。弁護士も同様に作業分に対して顧問料が支払われます。
このように支払いの条件が異なるため、まずは成果物の有無を確認しましょう。成果物がある場合は成果物を納入しなければ報酬が支払われないので、自分の業務委託の形態はどうなっているのか、そもそも成果物があるのかどうかは確認した方がよいでしょう。
注意点として「契約書のタイトル」で判断するのはやめましょう。請負か準委任かは、契約の内容によって区別されます。契約書のタイトルで「請負契約」となっていても、報酬が作業分に対する請求であれば、それは準委任契約になります。
2)業務範囲
2つ目は業務範囲です。これは業務委託契約書に必ず書かれており、何をどこまでするのかという条項になります。
この業務範囲が非常にトラブルになりやすいところです。というのも、発注する側としてはあれもこれもやってもらえると思っていますが、受注側からすると「そこは対応外ですよ」ということが必ず出てきます。
そのため「やるって言ったじゃん!」「いやいや、聞いていないし!」ということが頻繁に起こるわけです。
コンサルティングをする、何かを制作するなどの受注側はやること、やらないことを明確に定めておく必要があります。
逆に発注者側としては、いろいろとやってもらえるように業務範囲を曖昧に書いておくという方法があります。
もちろんこれはトラブルになる可能性もありますが、ある程度は曖昧に書いておき、その中でやってもらうということも考えられます。ただ、一般的にはきちんと明記しておいた方が後々、揉めないでしょう。
休日対応不可などの「やらない、できないこと」なども含めて、やることとやらないことをしっかりと書いておくことがトラブルを生まない方法です。
3)再委託
3つ目は再委託です。コンサルティングや制作を受けた際に、それをさらに外注する場合を再委託といいます。
この再委託をOKとするかどうかも確認が必要です。
受注者側は、再委託を想定している場合には再委託OKとし、外注できるようにしておかなければいけません。
発注者側としては、「その人だから頼んだんだ」という場合には再委託NGとしておかなければいけません。もしくは再委託OKだとしても、「再委託先の責任は受注者が負う」といった条項は入れておくとよいでしょう。
そもそも受注者がさらに外注できるのかどうかはきちんと定めたうえで、本当にそれでよいのかどうかは確認する必要があるかと思います。
4)著作権
4つ目は著作権の問題です。この著作権も非常に揉めやすいところになります。
著作権は手を動かした人にあるため受注側にあります。受注者は自分が持っている著作権を譲渡してもよいのかを考えなければいけません。
さらに、譲渡する場合には譲渡する時期が選べるため「お金が支払われてから譲渡する」といった条項にしておくとよいかもしれません。
発注者側としては著作権が欲しいのであれば必ず「著作権を譲渡する」という条項を入れましょう。お金を支払っただけでは著作権は譲渡されないので、ここは注意が必要です。
受注者側には著作権の他に、著作者人格権というものがあります。著作者人格権とは、著作権者固有の件で、コンテンツに氏名を入れるように要求する「氏名表示権」、コンテンツの内容を変えないように要求する「同一性保持権」があります。
この著作者人格権は、著作権者固有のもので譲渡ができません。
そこで上記の権利を要求されないようにするためには、著作権譲渡の規定の他に、「受注者側は著作者人格権を行使しない」という条項を入れておく必要があります。
確認をして内容を変更したい場合
業務委託契約書を確認して変更したい点が見つかった場合には、まずは「更する条項」を把握するようにしましょう。
契約相手に変更したい旨を伝えるときに、このような文言に変更したい旨を明確に伝える必要があるためです。契約条項については、ネットで調べてもよいですし、不安であれば、専門家に聞くのもよいでしょう。
そして契約相手に、変更したい旨を伝えます。ここでは具体的な変更規定と変更したい理由を伝えます。
契約書の内容変更はできないと言われたら
相手方が変更OKであればそのまま契約条項を変更して終わりですが、変更が不可と言われた場合、一度NGと言われても、何度も伝えるとOKが出る場合もあります。
しかし大手企業などの場合には契約書の変更は不可、イヤなら契約はできないと言われるケースもあります。契約書の規定で、大事な取引先を失うというのも本末転倒な話です。
その場合には、このままの条文でいった場合に、自社にどのようなリスクがあるかを専門家に分析してもらい、そのリスクが許容できる場合には、契約書の内容を変更せずに取引を進めることが考えられます。
業務委託契約書のチェックは慎重に!
業務委託契約は、いろいろな契約で使われるものなので、ビジネスをしていれば触れることがあると思います。
業務委託契約書を受け取ったら、今回、ご紹介をして「とりあえずおさえておいていただきたいポイント」をまずは確認しましょう!
「契約形態」「業務範囲」「再委託」「著作権」の文字があった場合には一度立ち止まって確認を徹底していただくと大きなトラブルを防ぐことができます。
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