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SES契約が法律的に違反にならないためのポイント

IT業界で必須のSES契約の法的性質は

SES」とは「システムエンジニアリングサービス」の略で、簡単にいうと、システム開発の現場にエンジニアを提供することによって対価を得るという契約です。

この契約では「作業時間あたり○○円」といったように、エンジニアの能力や工数によって、契約が決まることが多く、通常は「業務委託契約」という形で、契約を締結されることが多いのが特徴です。

そして、この契約では、ベンダ側のSEが、ユーザー企業に常駐し、ユーザー企業の担当者から直接指示命令がある場合があります。

しかし、このような受入先(ユーザー企業)が、ベンダ側の指揮命令ができるのは、労働者派遣の場合だけであり、労働者派遣事業法により、厳格な規定されています。

つまり、労働者派遣を行うには、法律で定められた規定を遵守し、行政からの許可が必要になるのです。つまり、ユーザー企業がベンダ側のSEに対して、直接指揮命令することは、ベンダ側が労働者派遣事業の登録を受けていなければならないのです。

この労働者派遣事業の登録は、事業者にとってはハードルが高いので、SES契約などの形態が一般化しています。しかし、これについては、ルールを守って行わないと、いわゆる「偽装請負」となり、法律違反になる可能性があります。

労働者派遣法違反については、最大1年の懲役、または100万円の罰金という刑事罰があるだけでなく、労働派遣法ということで、社名が公表されてしまうという信用力の低下という問題が生じます。

労働者派遣業の許可を得るという選択肢もあるかもしれませんが、派遣元企業には、派遣責任者の選任義務、派遣先管理台帳の作成義務、自社内でエンジニアを社員として雇う必要があり、ハードルが高くなってしまいます。

IT業界で労働紛争は増えている

SES契約は、どこもやっているし、問題になることはないだろうと思うかもしれません。しかし、「厚生労働省の労働政策審議会 建議」では、労働問題での「指導監督の強化」を打ち出しました。

そして、平成27年9月11日に、労働者派遣法の改正がなされました。これは、労働者保護を鮮明に打ち出した改正内容になっています。さらに、厚生労働省から企業への助言・指導申出件数が、9,471 件、あっせん申請件数が5,010件と、行政からの締め付けも厳しくなっているのです。

また、違法なSES契約が発覚する典型的なケースは、自社が派遣した人間が、揉めて、労働基準監督署にタレこむというケースです。

つまり、みんなやっているからいい!どうせバレないだろうというのは、通用しないのです。

そこで、SES契約が違法にならないためのポイントを解説していきたいと思います。

SES契約の準委任契約とは

SES契約は「作業時間あたり○○円」といったように、エンジニアの能力や工数によって、契約が決まるのが、通常です。これを「準委任契約」と呼びます。

一方、成果物が決められており、それを完成することで報酬がもらうものを「請負契約」といいます。

請負契約と準委任契約の違いは

請負契約と準委任契約の違いは、請負契約の場合には、成果物を完成する義務を負い、成果物を完成して初めて報酬がもらえますが、準委任契約では、成果物を完成させる義務がないということです。

そのため、SES契約の場合は、成果物ではなく、時間と工数、人工で価格が決定されるのです。

請負契約と準委任契約の共通点は?

請負契約と準委任契約とでは、上記のような違いはありますが、共通点があります。

それは、ユーザ企業からの労務管理などの指揮命令は受けないという点です。つまり、クライアント企業が「何時にどこに来て、こういう仕事をしなさい」といった具体的な指示は出せないということです。

準委任契約と労働者派遣との違い

労働者派遣とは、以下のような場合です。

  1. 派遣元企業が雇用する従業員を派遣先企業へ派遣し、
  2. 派遣された従業員は派遣先の指揮命令のもとに働く

SES契約などの準委任契約と労働者派遣の一番の違いは、この指揮命令がどちらにあるかということになります。

つまり、SES契約で、クライアント企業が、派遣した自社従業員に対して、指揮命令をしているという関係になると「労働者派遣」になってしまい、許可がないと違法になってしまうのです。

SES契約が、労働者派遣に該当する判断されるまでのプロセス

弊所では、労働問題専門チームを組み、多数の労働問題を扱っています。

そこで、SES契約が、労働者派遣に該当する判断されるまでのプロセスを解説します。

労働基準監督署からの呼び出し

SES契約について、労働者派遣に該当するのではと言われるきっかけは、派遣されていた自社従業員との間でトラブルになり、その従業員が、労働基準監督署にタレこむというケースです。

このケースでは、会社に、労働基準監督署から連絡が入り、話が聞きたいというような連絡が入ります。

労働基準監督署での説明

そして、労働基準監督署での面談があります。労働基準監督官との間で、SES契約の実態はどうなのかについて、ヒアリングがされるのです。

労働基準監督署からの処分

そして、上記面談の結果、SES契約が、「労働者派遣」ということになれば、労働者派遣法違反ということになるのです。

労働者派遣法違反になるとどうなるの?

ベンダの場合

労働者派遣法違反は、以下のようなペナルティが用意されています。ベンダ側のペナルティとしては、最大1年の懲役or100万円の罰金という刑事罰があります。

また、労働者派遣法違反は、社名が公表されてしまう可能性があり、社名が公表されてしまうという制裁があります。

クライアントの場合

クライアント側への直接的な罰則はないものの、ベンダ側が摘発などされてしまうと、プロジェクトが停止してしまうなどの不利益が生じます。

SES契約を法律違反にさせないためのポイント

では、SES契約をする場合、どうすれば、労働者派遣法違反にならないのでしょうか?以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. SESを提供する企業が、作業の完成について事業主として財政上、法律上のすべての責任を持つこと
  2. SESを提供する企業が、作業に従事する自社労働者を指揮監督すること
  3. SESを提供する企業が、作業に従事する自社労働者に対し、使用者として労働法規に規定された全ての義務を負うこと

特に問題になるのは、(2)指揮命令関係です。具体的な対策をみていきましょう。

派遣するエンジニアの業務内容をベンダ側で選別

ベンダ側で自社エンジニアの数や人などを選ぶ必要

SES契約が法律に違反しないために、ベンダ側で、業務に必要な自社エンジニアの数や人などを選ぶ必要があります。

これをクライアント企業がしてしまうと、法律違反になります。

ベンダ側の判断で作業内容の期日などを決定できること

ベンダ側で、どのような作業を、どのような段取りで行うのかを決定する必要があります。

クライアント企業の独断で、○月●日までに、この作業を行うといったことも、NGになります。

ベンダ側でエンジニアの指導や勤務態度の評価・査定をしている

これも、ベンダ側で、自社エンジニアへの指導や勤務態度を評価することが必要です。

クライアントが、自社エンジニアに対し「こういう風にした方がよい」などとしてしまうと、法律違反になります。

ベンダ側で派遣するエンジニアの労働時間を管理する必要がある場合

次に、派遣するベンダのエンジニアの労働時間については、ベンダ側で主導して管理する必要があります。

例えば、ベンダ側がクライアント側に、エンジニアの労働条件を提示するか、ベンダ・クライアント間で、「エンジニアの就業時間は、9:00~18:00、休憩時間は、13:00~14:00」とするとした打ち合わせが必要になります。

これに対し、クライアント企業が、一方的に、派遣されるベンダ側の業務時間などを決定すると、これは労働者派遣になる可能性があります。

SES契約書の内容及び運用

ベンダ側のエンジニアに対してクライアントは直接指示をしない旨の規定

SES契約書の記載も重要になります。契約書の規定に、派遣されるベンダ側のエンジニアに対して、クライアントは直接指示をしない旨の規定を入れておく必要があります。具体的には、以下の通りです。

「甲(ベンダ)は、本件業務遂行上、現場責任者1名及び現場担当者1名を選任する。乙(クライアント)は、甲に対する事務連絡等については、当該現場責任者に対してのみ行うものとする。」

このような条項を入れることにより、指揮命令関係は、クライアントからベンダ側のエンジニアにはないという証拠の一つになります。

また、契約書だけではなく、実際の運用も、上記の契約書の通りにする必要があります。

例えば、クライアント側で、ベンダ側が派遣した現場担当者に、「このコードをこうしてくれ」、「●月●日までに終わらせてくれ」というのは、直接指示するのはNGです。

ベンダ側が原因でクライアントに損害が生じた場合に備える

また、ベンダ側が原因でクライアントに損害が生じた場合には、ベンダが賠償責任を負うという規定を、SES契約書に記載しておきましょう。

例えば「甲(注:ベンダ)は、自己の責めに帰すべき事由に基づいて、乙(注:クライアント)に損害が発生した場合には、当該損害を賠償する責任を負うものとする。」のような規定を記載します。

経費についての取り決めがあること

クライアント側の業務を行うに当たり、必要経費についての分担の規定も入れておく必要があります。

SES契約書の中に、「乙(注:クライアント)は、甲(注:ベンダ)に対して、本件業務を処理するのに必要な施設・場所等の利用を認めるものとし、この場合の利用料については、〇〇円とする」を規定することが考えられます。

ベンダ側とクライアント側の賃貸借契約

ベンダ側のエンジニアについては、クライアント業務をする上で、必要な備品などがあると思います。

法律上の労働者派遣でない限り、クライアント業務を行うのに、必要な備品は、ベンダ側が用意するものです。しかし、それをクライアント側が用意するのであれば、そこに明確な取り決めが必要です。

具体的には、業務に必要な備品について「賃貸借契約書」をSES契約書とは別途に作成する必要があります。

ベンダ側でエンジニアのルールを決定する

SES契約については、派遣されるエンジニアについて、働き方のルール作りについては、ベンダ側で決定する必要があります。

エンジニアの入退場や服装などのルール決め

SES契約においては、ベンダ側のエンジニアが、クライアントに派遣されますが、そのエンジニアが入退場や服装などのルールがを決める場合には、ベンダ側で規定する必要があります。

例えば、ベンダ側で「スーツ着用の義務がない」ことや「クライアント企業の職務規定に従う」ことを規定する必要があります。

これをクライアント側が、ベンダ側やエンジニアに対して、一方的に「クライアント側の職務規定に従うこと」といったことを指定するのは、NGとなります。

エンジニアの勤務場所、現場責任者等のルール決め

こちらも、ベンダ側で決定し、クライアントが一方的に決定する方法はNGとなります。

まとめ

SES契約について、適法に行うためには、上記の項目を全て遵守する必要があります。

これらの項目を行うことは容易ではありません。私たちグローウィル国際法律事務所では、SES契約についてのアドバイス、労働基準監督署への対応について、年間100件以上行っておりますので、私たちにご相談頂くのも、一つの方法です。

また、SES契約ではなく、一般派遣業の登録をしてしまうというのも、選択肢の一つでしょう。

いずれにしても、SES契約をどこもやっているから、うちも大丈夫!という考えで、行っていると、労働基準監督署から指摘される可能性があるので、注意しましょう。

SES契約やシステム開発の法律に強い法律事務所 グローウィル国際法律事務所

SESビジネスの法律相談100件以上の実績

グローウィル国際法律事務所では、SESビジネスの法律相談を多数受けており、その数は、100件以上!

また、その相談件数の多さから、SES契約専門対策チームを設置しています。

弊所は、法律事務所だけでなく、同じグループに社会保険労務士事務所もあるので、弁護士だけでなく、社会保険労務士ともタッグを組み、SES契約が適法に行われるように、万全を期してます!

SES契約ビジネス・適正化パックプラン

SES契約ビジネス・適正化パックとして、SES契約を適法化させるために、グローウィル国際法律事務所の弁護士と、グローウィル社会保険労務士事務所の社労士が、タッグを組み、以下の内容を含むプランを作成いたしました。

  • SES契約書などの法律文書整備
  • 実際のSES運用のアドバイス
  • 電話・メールによる法律相談
  • 月1回、御社訪問しての運用のフィードバック
  • 社内体制の構築
  • 労働基準監督署の対応

これは、SES契約についての相談を100件以上行っている法律事務所と社会保険労務士事務所が、同グループにある、弊所ならではのサービスです。

また、契約期間は、6か月で、その期間内に、御社のSES事業が、適正に運用できる体制を構築します。

費用

月額10万円/契約期間6か月

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