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徹底解説!2019年の仮想通貨(暗号資産)とICOの法律改正の4つのポイント

仮想通貨(暗号資産)の法律改正について

仮想通貨に関する法規制がめまぐるしく変化している昨今、仮想通貨を取り扱う事業者としては関連する法律をしっかりと把握しておく必要があります。

そんな中、仮想通貨交換業等に関する研究会が「「仮想通貨交換業等に関する研究会」報告書」を公表しました。

今回の報告書は、今まで複数回にわたり行われた研究会の内容を取りまとめたものです。そして、2019年以降の仮想通貨の法律解説の骨子となるものです。

その検討内容は大きく分けると、次の5つに分類することができます。

  1. 仮想通貨交換業者への対応
  2. 仮想通貨の不公正な現物取引への対応
  3. 仮想通貨カストディ業務への対応
  4. 仮想通貨デリバティブ取引等への対応
  5. ICOへの対応

仮想通貨交換業者への法律対応

仮想通貨交換業者については、コインチェック株式会社への不正アクセスによる仮想通貨が流出したことなどを踏まえ、十分なセキュリティ対策を構築することが必要であると指摘しています。

(現状の仮想通貨交換業の登録申請の現状は、【2018年10月24日加筆】仮想通貨交換業登録申請の現状と審査の流れとは?迅速な回答が重要!を参照してください。)

具体的には、「仮想通貨交換業者において、法令等で求められるセキュリティ対策を着実に講じることが重要である。」

行政当局においても、引き続き、仮想通貨交換業者におけるセキュリティリスクに係る管理態勢を重点的にモニタリングしていくことが適当と考えられる。

また、仮想通貨交換業者のセキュリティレベルの向上を図る観点からは、例えば「専門的な知見を有する関係団体等において、技術面からの指針等が整備されることも有効と考えられる。」としています。

これらの点から、仮想通貨交換業者に対するセキュリティ面での法的な規制や行政の監督について今後は、今以上に厳しくなっていくことが予想されるところです。

また、仮想通貨の価格の変動するリスクが大きいことから、適正でない価格での仮想通貨の取引を防止するため取引価格の透明性の確保が求められると指摘しています。

具体的には、顧客との取引に関し、以下の情報を公表することが、指摘されており、今後、仮想通貨交換業者には情報提供義務や説明義務が課されるようになることが予想されます。

  • 自己が提示する相対取引価格(売値と買値)及びスプレッド(売値 と買値との差)、又は、自己が提供する「顧客間の取引のマッチングの 場」における約定価格・気配値及び当該約定価格と自己の相対取引価格との差
  • 認定協会が算出する参考価格17及び当該参考価格と自己の相対取引 価格との差
    • 仮想通貨交換業者が、顧客との相対取引、「顧客間の取引のマッチング の場」の提供、他の仮想通貨交換業者への取次ぎ等、顧客に複数の取引 チャネルを提供する場合には、利益相反を防止し、かつ、顧客にとって 最良の条件で注文を執行するための方針を策定・公表し、それを適正かつ確実に実施するための体制を整備すること
    • 仮想通貨交換業者が、顧客から自己が提供する「顧客間の取引のマッ チングの場」での取引注文を受けた場合に、それをマッチングの場に取り次がず、自己が相手方となって取引を行う場合には、その旨及びそれ が最良の条件による執行であった理由を顧客に説明すること
    • 仮想通貨交換業者が、流動性供給等の観点から、自己が提供する「顧 客間の取引のマッチングの場」に自らも参加することがある場合には、 その旨及び理由を顧客に説明すること

ICOへの法律対応

2017年10月に、金融庁より、ICO のリスクについて注意喚起がなされ、事業者に対しては、ICOのスキームによっては、金融商品取引法や資金決済法の規制対象になり得る旨が示されていました。

現在の法律対応

報告書においては、現行法においても規制態様となりうる類型について、以下のように規定しています。

まず、金融商品取引法との関係では、「ICO において発行されるトークンの購入者が発行者からの事業収益の分配等を期待し、かつ、下記1又は2を満たす場合、当該トークンが表章するとされる権利(以下「トークン表示権利」)は金融商品取引法上の集団投資スキーム持分に該当すると考えられます。

  1. 法定通貨で購入されること
  2. 仮想通貨で購入されるが、実質的には、法定通貨で購入されるものと同視されること

現行法においても、トークン発行者が事業収益の分配をする場合等には集団投資スキーム持分に該当するとして規制対象とされうることには注意が必要です。

次に資金決済法との関係では「ICO において発行されるトークンが、下記 1又は2を満たし、かつ、法定通貨建てでない場合、当該トークンは 資金決済法上の仮想通貨に該当すると考えられます。

  1. 不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、かつ、不特定の者を相 手に法定通貨と相互に交換できること
  2. 不特定の者を相手に仮想通貨と相互に交換できること

上記の要件を満たすトークンを発行する場合にはICOにおいて発行されるトークンは資金決済法上の仮想通貨に当たるとされるため、当該トークンを売買する場合には仮想通貨交換業の登録が必要となる点には注意が必要です。

2019年以降のICOの法律

もっとも、今後のICOについての規制に関してはICOを全面的に禁止すべきというものではなく、規制を明確にした上で利用者保護や適正な取引の確保を図っていくことを基本的な方向性とすべきとしてします。

セキュリティトークンやユーティリティトークンなどのICO法律的規制の今後とは

そこで、今後の規制の方法の例として、まず、金融商品取引法の開示規制を課す方法を提案しています。

また、第三者による事業財務状況のスクリーニングの必要であるとして、IPO に伴う元引受けでは主幹事証券会社が法令上の審査義務を負い、自主規制規則において具体的な審査項目が定められていることを例にとり、ICOの場合にも同様な規制が必要であると指摘しています。

また、仮想通貨仮想通貨に該当するトークンを含め、発行者が存在する仮想通貨については、以下の点を求めることが適当と考えられています。

  • 利用者保護の観点から、仮想通貨交換業者に対し、発行者に関する情報
  • 発行者が仮想通貨の保有者に対して負う債務の有無・内容
  • 発行価格の算定根拠等を顧客に提供すること

ICOの場合には、これらに加え、発行者が作成した事業計画書、事業の実現可能性、事業の進捗等の情報についても、その客観性・適切性に留意しつつ、顧客に提供することが必要であると指摘しています。

ICOについては金融商品取引法及び資金決済法に留意しながらスキーム構築する必要があることはさることながら、交換業者による審査も今後厳しくなることが予想されるところです。ICOについての今後も法規制もめまぐるしく変化していくことと予想されるところですので今後の動向に注視が必要です。

仮想通貨(暗号資産)取引のインサイダー規制について

報告書においては、仮想通貨の現物取引(仮想通貨の売買・交換)について、金融商品取引法において罰則付きで禁止されている相場操縦やインサイダー取引等の規制がされていない点を指摘しています。

実質的な規制内容として、指摘されている方法は、以下のような方法が提言されています。

  • 仮想通貨交換業者に対し、不公正な行為の有無についての取引審査を行うとともに、取引審査を通じてそうした行為が判明した場合に、当該行為を行った者に対する取引停止を含めた厳正な対応を求める方法
  • 有価証券の取引に係る不公正取引規制と同様に、行為主体を限定することなく、不公正な行為を罰則付きで禁止する方法

一方で、一方でインサイダー取引については、現時点での法令上で明確に定めることは、以下のことを理由に難しいのではないかと指摘をしています。

  • 多くの仮想通貨には発行者が存在せず、存在する場合であっても、世界各国に点在している可能性もあり、該当者の特定に困難な面があり得る
  • 仮想通貨の価格の変動要因についての確立した見解がない中で、インサ イダー取引規制を課す際に必要となる「顧客の取引判断に著しい影響を 及ぼす未公表の重要事実」を予め特定することには困難な面があること

いずれにしても、仮想通貨の現物取引の規制は、今後の仮想通貨の取引の実情に合わせて規制されていくことになりそうです。

仮想通貨(暗号資産)のカストディ業務への対応

報告書では、仮想通貨のカストディ業務を行う業者に対してどのような規制をしていく必要があるかを検討しています。

仮想通貨のカストディ業務とは、仮想通貨の売買等は行わないが、顧客の仮想通貨を管理し、顧客の指図に基づき顧客が指定する先のアドレスに仮想通貨を移転させる業務のことを指します。

現行の資金決済法上では仮想通貨のカストディ業務は、仮想通貨の売買等を伴わないため、仮想通貨交換業には該当しないとされています。

しかし、仮想通貨のカストディ業務は、顧客の支払・決済手段を管理するものでありマネーロンダリング・テロ資金供与のリスク等、仮想通貨交換業と共通のリスクがあると考えられることから一定の規制を設ける必要があると指摘しています。具体的な規制態様としては、金融庁への登録制にしたうえで、以下のことが挙げられています。

  • 内部管理体制の整備
  • 業者の仮想通貨と顧客の仮想通貨の分別管理
  • 分別管理監査、財務諸表監査
  • 仮想通貨流出時の対応方針の策定
  • 公表、弁済原資の保持
  • 顧客の仮想通貨の返還請求権を優先弁済の対象とすること
  • 利用者保護や業務の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがある と認められる仮想通貨を取り扱わないこと
  • 顧客の本人確認、疑わしい取引の行政当局への届出

現在仮想通貨のカストディ業務を行っている業者であっても今後上記のような規制が課され得る可能性があるので今後の法規制には注意が必要です。

仮想通貨(暗号資産)のデリバティブ取引等への対応

現在すでに多くの仮想通貨交換業者において、仮想通貨仮想通貨を原資産とするデリバティブ取引が行われており、今後も様々な類型のデリバティブ取引が行われると予想されます。

そこで、一定の規制を設けた上で、利用者保護や適正な取引の確保を図っていく必要があると指摘されています。

具体的には、最低証拠金(取引開始基準)の設定、 資力等に照らして取引を行うことが不適切と認められる顧客との取引を制限するための措置、 顧客に対する注意喚起の徹底を求めることが提案されています。

また、仮想通貨の信用取引(顧客が業者に保証金として金銭や仮想通貨を預託し、業者指定の倍率を上限に業者 から仮想通貨を借り入れ、それを元手として仮想通貨の売買・交換を行う取引)についても上記と同様な規制が必要であると指摘しています。

まとめ

今回の報告書の内容を一つの指針として、仮想通貨に関連する法律の整備や、行政当局の対応がなされていくこととなると思います。

もっとも、仮想通貨に関連する法規制については未だ不明確な点が多いため常に最新の情報を取得していくことが肝要となります。

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また、仮想通貨・Fintechに強い弁護士ということで、幻冬舎GOLD ONLINEで連載をしているなど、仮想通貨・Fintech関連の法律を扱う日本で有数の事務所として認められています。

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