この記事の目次
2019年3月15日、仮想通貨の法律改正案が、閣議決定されました。改正案は、今国会で、成立し、2020年6月までに施行される見通しとなりました。
(2019年5月31日加筆 2019年5月31日に成立しました)
このブログでも、2019年は、仮想通貨の法律が大きく動くといってきましたが、法律改正が現実になります。
徹底解説!2019年の仮想通貨(暗号資産)とICOの法律改正の4つのポイント
今回の法律は、仮想通貨法(資金決済法)だけでなく、金融商品取引法などの複数の法律にまたがる改正となっています。今回の法律改正のポイントをみていきます。
法律条文などは、金融庁のホームページに掲載されています。
まずは、仮想通貨という名称が、「暗号資産」に変更されます。
これは、国際的な流れから、仮想通貨の名称を改めようという動きから、この名称にしました。よって、仮想通貨交換業については、「暗号資産交換業」に変更されるなど、今後は、「暗号資産」に統一されます。
この名称自体によって、何か法律的な影響はありません。
ICOについては、法律的な規定はありませんでしたが、今回の改正で、法律の規定ができました。
トークンのうち、トークン保持者に収益が分配されるもの、いわゆるセキュリティトークンについては、金融商品取引法で規制されることになりました。
このようなセキュリティトークンを販売する場合には、金融商品取引法上の登録が必要になりました。
また、金融商品取引法の対象となったので、株式等と同じように、投資家への情報開示の義務付け、販売方法についても規制されます。
金融商品取引法は、非常に厳格な法律であり、セキュリティトークンのICOは、非常に厳しい規制になったといえるでしょう。
2018年に世間を賑わせた仮想通貨(暗号通貨)交換業に対する規制も、強化されました。
まず、仮想通貨(暗号資産)交換業への登録について、登録拒否事由として、認定資金決済事業者協会に未加入の法人 であって、当該協会の規則に準ずる内容の社内規則を作成していないものが追加されました。
従来、仮想通貨(暗号資産)交換業の登録には、認定資金決済事業者協会への加入は必須ではありませんでしたが、これからは、必須になったといえるでしょう。
また、仮想通貨(暗号資産)交換業の定義に、「暗号資産の交換等に関しない暗号資産の管理」が追加され、登録が必要になりました。
これは、仮想通貨のカストディ業務への規制とは、仮想通貨の売買等は行わないが、顧客の仮想通貨を管理し、顧客の指図に基づき顧客が指定する先のアドレスに仮想通貨を移転させる業務です。
また、仮想通貨(暗号資産)交換業者は、顧客の仮想通貨(暗号資産)について、コールドウォレットで管理するなど、信頼性の高い方法で管理することを義務付けました。
今回の法律改正で、暗号資産交換業の定義に以下の項目が付け加えられました。
他人のために暗号資産の管理をすること
これは、いわゆる仮想通貨(暗号資産)のウォレットのことを指しています。
今までは、売買機能などがついていない仮想通貨(暗号資産)ウォレットについては、仮想通貨交換業とはされていませんでした。
しかし、今回の法改正で、交換業の対象となりますので、注意が必要です。
今回の法律案では、仮想通貨の取引についての規制も追加されました。
仮想通貨(暗号資産)のデリバティブ取引については、金融商品取引法で、規制されることになりました。
仮想通貨(暗号資産)を用いたデリバティブ取引については、金融商品取引法上の説明義務が課されるなどの販売勧誘規制が課されます。
また、仮想通貨(暗号資産)を用いた証拠金取引(FX)についても、レバレッジ規制や販売勧誘規制が課せられることになりました。
上記の内容の法律案の改正ですが、今国会で成立する見込みです。
そして、施行時期は、法律が成立してから1年以内とされており、2020年6月までには施行される見通しです。
現在の仮想通貨法が成立したときは、2016年5月25日が法律が成立→2017年4月1日に施行というスケジュールでした。今回の法律改正も同じようなスケジュールになるものと思われます。