弊社は、国際法律事務所として、海外取引における法律問題も扱っています。
特に多いのが、日本と中国・ASEAN地域との取引です。
そこで、今回は、中国・ASEAN地域とのトラブルで特に多いトラブル事例を解説していきます。
中国・ASEAN企業との間の調達契約に関するトラブルとして最も多いのが、調達した製品に瑕疵がある場合です。
サプライヤーである中国・ASEAN企業が製造販売した製品に瑕疵がある場合、瑕疵担保責任、製造物責任、リコールに関する責任が発生する可能性があります。
製品の瑕疵として典型的なものは、調達した製品に期待された機能が備わっていなかったり、外形的に問題があったりする場合であるが、これらに加えて、EUのRoHS規制違反のような各国の使用禁止物質が製品に含まれている場合があります。
また、近年多いのが、データ偽装です。これも、瑕疵の一つになります。
このような瑕疵のある製品を販売した場合、買主は当該製品の返却を売主に要求することができ、さらに、瑕疵に関する売主の責任の程度によっては、予定どおりに製品を販売できなかったために取得することができなかった逸失利益の賠償請求もすることがあります。
しかし、実際、相手方企業が海外企業であり、賠償金を支払わない場合に、裁判等をして回収するのは、非常に労力がかかります。しかも、相手方の企業にお金がなければ、回収することは不可能になります。
このように、トラブルになってから、解決するのは実際問題難しいので、それを前提に取引相手を選ぶなどの対応が必要になります。
製品の瑕疵の問題が生じた際に、まず問題となるのが、製品の瑕疵が、供給者側に企業にあるか否かです。
瑕疵があるかどうかは、調達に関する売買契約に規定されている製品の仕様または品質保証の内容にあります。
仮に、製品の仕様または品質保証の内容が明確に規定されていなかった場合には、何が瑕疵かは明らかではなく、供給者側企業の帰責性が認められない可能性が高いです。
そもそも、製品の仕様または品質保証の内容を具体的に明確に記載せずに、サンプルのみをもって製品を特定していることも少なくありません。
このような場合に、サンプルに機能または品質の瑕疵、原材料の不一致があったならば、供給者側の責任を認めることはできません。
つまり、供給者側の企業の責任を明確にするために最も重要な点は、売買契約において製品の仕様および品質保証の内容をできる限り明確に特定することにあります。
今後も、中国・ASEAN地域との取引は、増えていくと思います。その中で、海外取引について考慮すべき事項は、多岐にわたります。
企業としては、十分に注意をしていきましょう!