海外向けに、企業に対する様々な支援がある
スタートアップ企業向けに、国・地方公共団体から海外での知財に関係する活動に対する支援や、一定の知的財産権を取得していることを条件に海外での活動支援を行なうものも存在します。
海外での活動を視野に入れているスタートアップにとっては、手厚い支援制度も多く用意されています。
グローバルニッチトップ助成事業(海外での知財の総合的な支援)/東京都
要件
東京都内に主たる事務所を持つ中小企業者、または中小企業を主たる会員とする団体等であること
助成内容
- 助成率:1/2以内
- 助成限度額:3年で1000万円
- 助成対象費用:外国での該当製品・技術等に関する権利取得・維持に関する費用(周辺・改良技術等に関するものを含む)、知財トラブル費用(訴訟に要する費用は対象外)、先行調査費用(特許・商標・意匠・実用新案等)
コメント
国際展開していくスタートアップにとっては、使わない理由がないといえるような手厚い保護内容となっています。金額はもちろん、助成対象の項目が多いことも魅力です。
JETROによるサポート
日本発知的財産活用ビジネス化支援事業 ジェトロ・イノベーション・プログラム(JIP)
要件
- 海外展開を検討する日本登記の中堅・中小・スタートアップ企業であること
- 本事業の対象となる技術またはビジネスモデルに関連する日本国内特許・実用新案・意匠・商標を登録済みであること
対象地域
- サンフランシスコ
- シリコンバレー
- 中国(深セン・上海)
- タイ(バンコク)
メリット
各種プログラムやイベントの参加を通じ、様々な知見やネットワーキングのチャンスを得ることが可能です。詳細は、各年度のウェブサイトを参照を参照してください。
中小企業等海外侵害対策支援事業(防衛型侵害対策支援事業
要件
次のいずれかの紛争に該当していることとされています。
- 出願等により係争対象国での知的財産権を現地企業に先取りされているため紛争となっている
- 紛争対象国において無審査によって取得できる知的財産権が、現地企業との間で並存しているため係争となっている
- 紛争対象国での知的財産権を保持しつつも、事業を実施していない現地企業から権利行使され、紛争となっている
そして、次のすべての条件を満たしていることが必要です。
- 中小企業支援法に基づく中小企業の要件を満たす法人であること又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めるもの)
- 紛争対象国で係争に関連する知的財産権を保持、もしくはその実施権を得ている
- 紛争対象国で警告状又は訴状等の係争が始まったことを示す証拠がある
- ジェトロ以外の機関から、同様の補助(海外知財訴訟保険の支払い対象となる案件を含む)を受けていない
- 本事業終了後3年の間に紛争に係る進展があった場合は、ジェトロに対して報告義務を負える
- ジェトロと常に連絡を取れる担当者を置ける
- 原則、申請者又は弁護士等の代理人と、ジェトロ本部(東京)にて面談の機会を設ける
助成内容
対抗措置にかかる費用(補助金の交付決定日から2020年1月15日までに発生した費用)の 2/3(上限額:500万円)を助成(2019年度のもの)。
中小企業等海外侵害対策支援事業(模倣品対策支援事業)
要件
次のすべての条件を満たしていることが必要です。
- 中小企業支援法に基づく中小企業の要件を満たす法人であること又は「中小企業者で構成されるグループ」(構成員のうち中小企業者が2/3以上を占めるもの)
- 調査及び権利行使等実施国において、対象製品に関する特許権、実用新案権、意匠権、商標権を保持しているか、ライセンス許諾を受けている
- 対象国における権利侵害の可能性を示す証拠がある
- ジェトロ以外の機関から同様の助成を受けていない
- 調査・摘発後実施後3年の間に権利行使などの進展があった場合は、ジェトロに対する報告義務を負える
- ジェトロと常に連絡を取れる担当者を置ける
- 原則、ジェトロ本部(東京)にて面談の機会を設ける
- 本事業において、1社につき過去3回補助を受けていない
支援内容
主に以下の項目にかかる現地代理人費用(調査会社)が対象(ただし、国・地域によっては実施できない可能性あり)
- 模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査
- 調査結果に基づく、模倣品業者への警告文作成、行政摘発、取締り
- 調査結果に基づく、税関登録、税関差止請求等、模倣品販売ウェブサイトの削除申請
- 補助率:2/3
- 上限額:400万円
支援制度を有効活用しよう
スタートアップにとって、知的財産権は唯一の資産といえるものです。
支援制度を利用し、知的財産対策を進めていきましょう。