IT法務や仮想通貨、ICO、AIの法律に詳しい弁護士|中野秀俊のホームページです。 IT法務や仮想通貨(ICO)、AIなどのITビジネスを専門に扱う法律事務所です。
グローウィル国際法律事務所
10:00~18:00(月~金)

海外における販売契約で気を付けるべきポイントを弁護士が解説

海外進出に必要な法律

海外で商品・サービスを販売する場合

日本企業が、海外で商品・サービスを展開する場合に、現地のエージェントなどと契約し、販路を拡大することがあります。
このような場合には、日本企業は、現地企業をその地域における代理店・販売店として契約することが行われます。

このような場合には、一から販売網を構築する必要がないので、最大のメリットです。

しかし、国内取引とは違い、情報も限られており、法律も異なります。
そこで、今回は、海外で販売契約をする場合の注意点を解説します。

海外における販売店契約の種類

一言で「代理店契約」といっても、法律上は、2種類があります。

  • 販売店契約(Distributor Agreement )
  • 代理店契約( Agency Agreement )

販売店契約とは

販売店契約とは、日本の事業者が、海外の販売店に、その地域における販売する権利を付与するものです。
海外の販売店が、その地域で、売主として、顧客と契約する形式です。

商流としては、日本事業者⇒海外販売店⇒現地顧客ということになります。

つまり、日本の事業者と販売店の関係は、売買契約における売主対買主の関係です。

代理店契約とは

これに対し、代理店契約とは、代理店(Agent)が独立の事業者として、輸出者の製品の販売について、輸出者と顧客との間に立ち、輸出者のために売買契約締結の仲介・媒介を行い、輸出者が手数料を支払うという契約です。

代理店契約の場合には、販売店契約とは異なり、売買契約は輸出者と顧客の間に直接成立します。あくまで、代理店は、売買契約の仲介に入っているだけという形です。

日本から輸出する事業者については、この2つを明確に区別しておく必要があります。

多くの場合、販売店契約が結ぶケースが多いため、以下では、販売店契約について、解説します。

契約締結する前に調査しておいた方がよいこと

販売店契約をする前には、十分な調査が必要です。

海外事業者との取引ということもありますし、一度契約を結ぶと、長期間にわたり、関係が継続するので、どのような状況・取引になるのかは事前に把握しておく必要があります。

調査する事項としては、以下のように、ビジネスとして必要な調査を実施することになります。

  • 販売店の事業内容
  • 競合製品の取扱いの有無
  • 販売店の販売チャネル
  • 財務状況
  • 役職員の状況や株主構成

販売店契約で、検討すべき条項

販売店契約は、輸出者と販売店との間の売買に関する基本契約であることに加え、販売店を輸出者の海外ビジネスパートナーとして、輸出者の製品を現地で販売促進することを目的とするため、以下のように販売協力に関するさまざまな権利義務が規定されることが多いです。

  • 独占・非独占の別
  • 最低購入数量
  • 販売地域
  • 販売促進活動
  • 各種報告義務

しかしながら、販売店としては、当該製品の市場における独占的地位を確立して利益を得たいと考えることから、独占的な権限を要求することが多いです。

独占・非独占といった取決めをする場合、単にその旨の記載だけではなく、対象となる販売地域、製品、販売経路、自社による直接販売の可否などを正確に記載することが必要です。

例えば、製品の定義の中で正確な製品の種類を記載せず、包括的に「輸出者により供給される製品」と記載してしまうと、独占販売権により、今後販売される新製品の流通を禁止されるという予期せぬ効果を生じることもあるので、注意が必要です。

独占販売権を設定し、自社による直接販売をできない規定にすると、販売店の販売成績が優れない場合であっても、自らは販売できず、他の流通経路で販売することもできないから、通常は、独占販売権と最低購入数量の条項はセットと考えるべきです。

販売店が最低購入数量を達成しない場合の制裁としては、輸出者による契約解除や損害賠償が考えられます。

相手から最低購入数量規定を入れらないといった場合には、購入成績が伴わない場合には契約が短期で終了できるように、試験的販売として契約期間を短期間に設定することが大事です。

販売地域の設定

販売店契約においては、販売店が製品を販売することのできる販売地域を設定し、販売地域でのみ製品を販売することができる建付けとするのが一般的です。

契約書をみていると、販売地域で、その定義が明確にされていない契約が結構あります。

例えば、アジアを販売地域と定めるのであれば、アジアに含まれる国・法域を定義すべきです。

中華人民共和国を販売地域と定めるのであれば、香港、台湾、マカオといった地域を含むのか否かを明確にすべきです。

競業禁止義務

販売店が競合製品を取り扱っているということになると、自社製品への販売への影響が出てしまいます。

そのような場合に備えて、輸出者としては、自社製品と同様または類似の製品の取扱いを禁止する旨の競業禁止義務を求めることが必要です。

法令違反

製品の種類によっては、販売地域における製品の販売等に関し、一定の許認可等が必要な場合があります。

現地法令に関する知見のある販売店に、法令遵守に関する一定の義務を課すことも考えられますが、他方で、販売店が法令を遵守しないことにより輸出者が責任を負う可能性や、法令遵守に関するノウハウが輸出者に蓄積されないという問題を伴います。

販売店に一定の調査や協力を求めるとしても、当該法令調査の記録や現地の行政当局とのやり取りなどの報告は、適切に保管しておくことが必要があります。

また、製品の瑕疵や製造物責任法の問題は、製品の品質や安全性の問題のみでなく、当該製品の説明書などによっても左右されることもあります。

現地の法律に照らして、どのような記載をする必要があるかは、十分に検討する必要があるのです。