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海外企業と秘密保持契約(NDA)を結ぶときに注意すべきポイント【弁護士 解説】

海外進出に必要な法律

今日のテーマですけれども海外企業との秘密保持契約(NDA)で注意すべきポイントというお話をしたいと思います。

海外企業との秘密保持契約(NDA)についてはどこに注意すべきなのかというご質問を多数いただいているので解説したいと思います。

NDAの意味

NDAについては「契約段階でとりあえず結んでおこう」といったイメージがありますが、そもそもNDAを締結する必要があるのかどうかが非常に重要になるかと思います。

たとえば、秘密情報を開示しない状況で本当にNDAを締結する必要があるのかというお話です。とくに相手が海外企業となると、信用に足る相手なのかという問題もあります。「開示されたすべての情報を厳密に管理せよ」といったNDAが結ばれたときに本当に管理できるのかといった部分もあるかもしれません。

ですので、本当にNDAを締結する必要があるのかどうかは考える必要があります。何となくNDAを結ぶのではなく、「そもそもこの段階でNDAを結ぶ必要はありますか?」ときちんと主張することが大事かと思います。

その場で軽々しくサインしない

また、その場で軽々しくサインしないことも非常に重要です。

NDAとは売買契約やライセンス契約、合弁事業契約などの主目的の契約があったうえで結ぶものであり、秘密保持契約だけを主目的にすることはありえないかと思います。何かしらの取引があったうえで「とりあえずNDAも結びますか」といったケースも多いですが、これには注意が必要です。

日本の契約であればテンプレートがあり似たり寄ったりなところがありますが、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアなどの海外のNDAでは内容に大きな違いがあります。

企業によっても求められるものが異なり、「開示した情報についてはすべて厳密に管理せよ」といった非常にハードルが高い場合もあるため、内容はきちんと精査する必要があります。

当然、日本の契約でも精査はすべきですが、とくに海外企業から英語で出されたときには必ず精査してください。

秘密情報の定義

そこで注意すべきポイントとしては、やはり秘密情報の定義になるかと思います。情報を開示する側であれば秘密情報の範囲は広くしてください。

逆に情報を受け取る側であれば受け取った情報はきちんと管理しなければいけないので、秘密情報の定義を厳密に行い、狭く明確にした方がよいでしょう。秘密情報の定義については自分がどちら側の立場なのかで変える必要があるかと思います。

残留情報条項(Residuals)

さらに英文契約書特有のあまり日本のNDAでは見られない条項に残留情報条項(Residuals)というものがあります。

これは情報を受け取った人がそれを見ることで記憶に保持された秘密情報にかんしては情報を受け取った側が使用することを認めるという権利です。これは日本のNDAではあまり見られませんが、海外企業とのNDAでは残留情報条項が書かれている場合があります。

残留情報条項を安易に認めてしまうと「たまたま頭の中にあった情報を使ってしまっただけなんです」ということにもなりかねません。そうなると未発表のコンテンツなどを相手に渡す場合に似たようなものをつくられてしまう可能性もあるわけです。

こういったケースを防ぐためにも残留情報条項が書かれていた場合には「こちらのコンテンツに似たようなものを発表してはいけない」のような条項をつけておくなどの形で対処をしておく必要があります。

残留情報条項については見慣れないため和訳をしてもよくわからない場合も多いので、認めてもよいものかどうかはきちんと精査する必要があるかと思います。