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金融庁は、仮想通貨での出資、資金集めについて、金融商品取引法の規制対象とする方針を固めました。
現状の仮想通貨による出資、仮想通貨ファンドの法律や今後の法規制について、解説していきます。
仮想通貨の法改正のポイントは、以下の通りです。
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出資者から金銭を集め、事業を行い、その企業から得られた利益を出資者に分配するというのは、金融商品取引法の集団的投資スキームに当たります(いわゆるファンド規制。
このようなファンドの投資家を募る行為は、第二種金融商品取引業に該当します。
第二種金融商品取引業を行うには、金融庁の登録が必要になり、無許可で行うと違法になります。
ここで、現状の法律上、集団的投資スキームの対象になるのは、以下のようなものです。
ここでのポイントは「金銭を支払ってもらい」の部分です。
金融商品取引法上のファンド規制は、出資者が金銭や有価証券を出資と言う場合に限られており、仮想通貨で出資してもらう場合は、含まれていません。
よって、以下のようなスキームは、上記の金商法法上のファンド規制に当たらないのではと言われていました。
しかし、仮想通貨の類似の性質があります。また、2017年7月1日から仮想通貨の売買についての消費税の扱いが非課税になりました。
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消費税が非課税になるのは、法定通貨も同じです。そうなってくると、仮想通貨≒金銭となり、ファンド規制が適用されるのではないかとも考えられます。
このように、仮想通貨での出資についての法律上の扱いは、不明確なものでした。
仮想通貨での出資を募り、配当を出すと謳っていた「セナー」を運営していた日本人が逮捕されました。この事件で立件されたのは、現金で出資されていた部分のみでした。
これは、仮想通貨での出資は、法律上、明記されていないので、仮に立件しても、裁判で無罪になる可能性もあるため、確実に法律に違反している現金での出資のみでの立件となったのです。
もし、全てが、仮想通貨での出資であれば、立件できなかったのではないかとも言われています。
以上のように、法律的に、あいまいだった仮想通貨による出資、資金集めについて、法令を改正し、抜け穴を防ぐことが今回の改正の狙いです。
金融庁としては、まだ検討段階であるので、具体的にいつ、法令改正されるかは分かっていません。
法律を改正をするので、最短で、今年の通常国会(1月~6月)で成立させる必要があります。
また、通常、法律が成立してもすぐに効力が発生するのではなく、施行(法律が効力が生じる日)が別途定められます。
法律が施行されて以降の取引が、法規制の対象になります。
法律が施行される前の取引については、遡及されることはありません。
以上のように、今ままで、法律の抜け穴として運用されていた仮想通貨での出資については、今後の法律的に明確に規制されます。
このように、事業者としては、今までのスキームを見直す時期に来ているといえるでしょう。