2024年版として、NFTは仮想通貨(暗号資産)規制が適用されるのかというテーマで解説します。
2024年に入り、NFTに関する相談が増えてきました。その背景には、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨市場の好調さがあります。ここ数年は冬の時代と言われていましたが、仮想通貨市場の盛り上がりに伴い、NFT市場も活況を呈してきています。
最も多い相談は「NFTは仮想通貨に該当するのか」という点です。
法律的には、仮想通貨は「暗号資産」として扱われます。仮想通貨に該当する場合、資金決済法が適用され、暗号資産交換業のライセンスが必要になります。
しかし、いまは暗号資産交換業のライセンス取得が非常に大変になっています。大資本の企業が何年もかけて取得するような話になっているので、ベンチャー企業などにとっては、取得はほぼ無理といっても過言ではありません。
では、NFTが暗号資産に該当するのか?ということですが、暗号資産の定義については、法律で定められています。
代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定のものを相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値・・・電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
「代価の弁済のために不特定多数の者に対し、決済手段として使用できること」がポイントです。例えば、ビットコインやイーサリアムは決済手段として広く用いられています。しかし、NFTがこの定義に当てはまるかは別の問題です。
そもそも決済手段としての機能を有していない場合、仮想通貨(暗号資産)とはの規定は適用されません。この点が、NFTビジネスを考える際の重要なポイントです。
2023年に暗号資産の定義に関するガイドラインが改定されました。例えば利用規約で「決済手段としては使えない」と書いている場合は暗号資産にはならないとしています。
発行者等において不特定の者に対して物品等の代価の弁済のために使用されない糸であることを明確にしていること(例えば、発行者または取扱事業者の規約や商品説明等において決済手段としての使用の禁止を明示している、又はシステム上決済手段として使用されない仕様)
また、金融庁がパブリックコメントへの回答として以下のようなものを挙げています。
例えば、NFTが高額であるため通常の決済手段として使用されない場合、または発行数量が限られている場合などが該当します。
そのためNFTを設計する際は、これらの要素を考慮して暗号資産に該当しないようにすることが重要です。