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事業者必見!無期限クーリングオフを防ぐ方法を弁護士が解説

インターネット法律

今日のテーマですが、事業者必見!無期限クーリングオフを防げ!というお話をしたいと思います。

そもそもクーリングって何?

まず、クーリングオフとは何かというと、一定の期間であれば無条件でユーザーが解約できる制度です。

もちろんどんな場合でもクーリングオフができるわけではなく、訪問販売、連鎖販売、電話勧誘販売など、クーリングオフができるケースは決められています。

特商法で規定されたビジネスについてはクーリングオフができ、日数は契約書面交付後8日、ネットワークビジネスであれば20日と限定されています。

無期限にクーリングオフができる場合

しかし、実はこれはきちんと守らなければ無期限でクーリングオフができてしまう可能性があります。

ですので、特商法で規定されたビジネスをされている皆さんに「大丈夫ですか?」という注意喚起をさせていただきたいと思います。

まず1つ目は、そもそも法定の書類がない場合です。これは論外だと思いますが、概要書面、契約書面がない場合は無期限にクーリングオフが可能になってしまいます。

特商法により訪問販売や電話勧誘販売、連鎖販売は契約書面や概要書面を送らなければいけないと定められています。

クーリングオフの期間は書面交付後8日、20日とされているため、そもそもこの書類を送っていないといつまでも永久にクーリングオフができることになってしまうわけです。ですので、ここは確認が必要です。

また、記載に不備がある場合も無期限にクーリングオフが可能になります。不備の中でも多いのが、法改正でクーリングオフの通知をメール等の電磁的記録でできるようになったことに関するケースです。

以前は書面のみだったため、「書面によりクーリングオフができます」といった定型の文言があったのですが、法改正によって契約書面には「書面または電磁的記録によりクーリングオフができます」と書かなければいけなくなりました。

この「電磁的記録により」が抜けていた場合は書類の不備となり、きちんとした契約書面がないということでクーリングオフの期限は続いてしまうわけです。この場合も無期限にクーリングオフが可能になってしまうので、事業者はきちんと書かれているかの確認をしてください。

2つ目は、契約書面をメール等で送る際にユーザーの承諾を得ていない場合です。

以前は書面でなければいけなかった契約書面が法改正によりメール等で送ることが可能となりました。現在は紙ではなくメール等での交付でも可能ですが、この場合はユーザーの承諾が必要となるため、一方的にメールで送りつけてはいけません。

さらにこの承諾については文言や確認方法などの手続きが決まっており、これらをきちんと守らなければいけません。

詳しくは消費者庁から「契約書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」が出ていますので、参考にしてください。

契約書面は原則紙なので、ガイドラインに則った承諾を取らずにメールを送っていた場合には契約書面がないとされ、無期限にクーリングオフが可能になってしまいます。ここは本当に注意が必要です。

法改正もされているところなので、今一度、自分たちの事業においてきちんと対応がなされているかを確認していただきたいと思います。