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会社で採用をする際に身元調査をするのは違法?【弁護士 解説】

IT企業のための法律

今日のテーマですけれども、会社で採用をする際に身元調査をするのは違法?というお話をしたいと思います。

履歴書や職務経歴書の内容が本当なのか調べたい!

これについては採用活動の際に応募者に提出してもらった履歴書や職務経歴書の内容が本当なのかをきちんと調べたいということで経営者の方から多くのご質問をいただいています。

履歴書等に誤記がないか、前職の退職理由が自己都合なのか会社都合なのかなどの確認を取るために調査を依頼したいと考えた時に、これは法的に問題があるのかというお話になります。

結論としては、採用時の身辺調査、身元調査について法律上は禁止されていません

しかし、厚生労働省から公正な採用選考を行うため採用時に配慮すべき事項というものが出されており、執拗な身元調査の実施を行わないことや本籍、出生地、家族などについて聞くときには配慮が必要とされています。

ですので、身元調査の情報取得方法に違法性があるとNGとなります。たとえば、探偵に尾行をさせて1日の行動スケジュールを確認するなどは少しやり過ぎかと思います。

前職の退職理由を知りたい場合

では、前職の退職理由が解雇されているのかどうかも含めて自己都合なのか会社都合なのかを知りたい時にはどうすればよいのでしょうか。

この場合、本人を通じて前職に「退職証明書」を発行してもらうという方法があります。この「退職証明書」には退職理由が自己都合なのか会社都合なのかが記載されているため、履歴書等の記載や申告に嘘がないかの確認が取れます。

ただ、これも強制はできないため本人が「嫌だ」と言った場合には「退職証明書」による確認はできません。しかし、「嫌だ」と言ったことも含めて採用するかどうかの判断材料にはなるかと思います。

採用の自由が、経営者にとって唯一の武器

日本の場合、なかなか解雇ができないため経営者としては採用するか、しないかで防ぐしかありません。誰を採用するかについては完全なる自由があるため、指定した資料の提出を拒否された場合にその人を採用するかどうかは経営者の判断かと思います。

応募者の情報を過度に詮索することはよくありませんが、「退職証明書」の発行など問題のない方法もあります。これらを用いて嘘がないかどうかを確認することは採用時には重要かと思います。