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食べログ訴訟事件の控訴審で食べログが逆転勝訴!独占禁止法違反のポイント

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今日のテーマですけれども、「食べログ」控訴事件控訴審で食べログが逆転勝訴!というお話をしたいと思います。

「食べログ」事件とは

これについては以前、第一審判決が出た際にご説明しましたが、焼き肉チェーン「KollaBo」を運営している韓流村が食べログを運営するカカクコムに対して損害賠償請求をした訴訟事件がありました。

韓流村はチェーン店の評価を不当に一律下方修正するアルゴリズムの変更が行われたことで一斉に食べログ上の評価が下落し、来客が減ったとして損害賠償請求をしました。

つまり、チェーン店に不利になるような一方的な評価のアルゴリズムの変更はおかしいと訴えたわけです。

これに対して第一審ではカカクコムに対して3,840万円の賠償命令が出ました。

このようなアルゴリズムの変更は優越的地位の濫用であり独占禁止法違反として損害賠償命令がくだされたというのが第一審判決です。

控訴審で食べログ側が逆転勝利

その後、カカクコムが控訴して争われた第二審ではアルゴリズムの変更は合理的とされ逆転勝訴となりました。第二審判決ではアルゴリズムの変更が韓流村にとって不利な扱いであることは認められました。

しかし、そのうえで投稿者の口コミで生じる消費者の感覚とのズレや手口が巧妙化する不当な口コミに対応するためにアルゴリズムの変更は合理的であり違法性はないとされたわけです。

独占禁止法上の優越的地位の濫用に対してもアルゴリズムの定期的な見直しやそれに伴い評価点が変動することを食べログ側がサイト上で公開しており、飲食店側も認識しえたことから変更は合理的とされています。

ただ、アルゴリズムの変更が原告側に不利だったことは認定されており、今回のケースに限りアルゴリズムの変更は合理的とされたと考えられます。

ですので、基本的には巨大なプラットフォーマーが評価の方法を恣意的に変えてしまうことは独占禁止法違反になる可能性は引き続き残っているわけです。

あくまでもこのケースでは合理的とされただけという形にはなるかと思います。

今回のケースからいえることとしては、巨大なプラットフォーマーが評価方法を勝手に変えている、それも特定の反旗を翻した人に対して一方的に評価を下げるような変更については引き続き独占禁止法違反になるのではないかと思います。