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出資が急に中止になりました!法的に問題ありませんか?

IT企業のための法律

今日のテーマですけれども出資が急に中止になりました。法律的に問題はありませんか?というお話をしたいと思います。

たとえば、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などのお金を出してくれる人からの出資が決まったと思ったのに、直前になってダメになったとします。「契約書も締結直前でこの出資をあてにして支払いなどをしていたのに、これは違法ではないのか!」という相談はかなり多いのでご説明したいと思います。

出資契約書を締結するまでは基本的にはいつでも出資撤回が可能

結論としては、出資契約書を締結するまでは基本的にはいつでも出資撤回可能というのが現実になります。当然、口頭でもよいですが、出資契約の場合はさまざまな条件が重なりあっているため、基本的には契約書できちんとすべての事項について合意ができた段階で契約成立となるかと思います。

やり取りの中で修正などもあるかと思いますが、きちんと署名をして締結してはじめて出資が決まるわけです。ですので、それまでは原則的には出資の撤回は可能かと思います。

スタートアップなどを経営されている方はご存じかもしれませんが、このようなケースが意外と多くあります。出資は着金されるまで何があるかわからないといわれているほど直前でダメになることは多々あるので、ここは気を抜いてはいけないところかもしれません。

「やったー!来月1億円が入るから投資してしまおう」などとしてしまうと痛い目にあうので注意が必要です。

損害賠償請求ができる場合

原則は撤回可能ですが、たとえば交渉の最終段階であとはサインするだけという状態だとします。さらに設備投資や人を雇うなど、契約を前提に動いていたことを出資元も知っていた場合については契約締結上の過失という議論があります。このような場合であれば損害賠償請求ができ、判例上も認められています。

出資にかんしては、やはり契約書の前の段階で出資を握っておくことが重要になるため、「問題がなければ出資します」といった形の覚書を締結しておくとよいでしょう。

もちろん、これにどこまでの効力があるのかといった部分はありますが、それでも出資の表明にはなるため契約締結上の過失を主張しやすくなるかと思います。また、細かい条件はあとにしても出資することは決まっていたので契約自体は成立しているということもできるかもしれません。

出資が急に中止になるケースは少なくないので、ある程度の内容が煮詰まった段階で覚書を締結しておくことは1つの方法かと思います。