IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
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Web3(仮想空間)でコンテンツの著作権について弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

Web3上のコンテンツの権利

メタバース(仮想空間)において、アニメやゲーム、絵本、映像作品などの創作物に登場する場面や現実の都市、建造物の再現が求められ、仮想空間やデジタルコンテンツの創作が盛んに行われることが予想されます。

ここでは、仮想空間の性質ごとに著作権に関する問題を見ていきます。

例えば、有名なキャラクターを使ったアバターや舞台を再現した仮想空間、特徴的な外観を持つアイテムを再現したデジタルコンテンツについては、当然に元の創作物の著作権(複製権や翻案権、公衆送信権など)が及びますので、再現する際には著作権者の許諾が必要です。

また、既存のゲームソフトなどのデジタルデータを利用する場合も、著作権者の許諾が必要です。

このため、メタバースのプラットフォーム運営者としては、自らが著作権侵害を行わないことはもちろんのこと、ユーザーに対しても、ユーザー生成コンテンツ(UGC)を作成する際に著作権侵害がないように、利用規約などで規制を設ける必要があります。

現実世界の再現をする場合の著作権問題

現実世界に存在する建造物や公園内のベンチなどをメタバース上に再現する場合、著作権法の例外規定に基づいて、建造者や設置者の許諾なしに行うことができるケースもあります。

ただし、美術的要素を含む建造物(例えば、東京タワーや東京スカイツリーなど)については、美術作品の複製を販売する場合などによって著作権法の適用が変わることがあります。

美術的要素を持たない建造物でも、看板や企業ロゴ、グラフィティなど個別の創作物が付属する場合、それらの著作権者の許諾も必要です。

商品や物品を再現する場合も同様に、著作権者の許諾が求められることがあります。

要するに、仮想空間内での創作物の再現や利用には、元の著作権や著作者の権利を尊重し、必要な許諾を得ることが大切です。

具体的なケースによって著作権法の適用が変わることもあるため、注意深く対応することが必要です。

Web3で現実世界で存在する商品や物品を再現する場合

また、現実世界で存在する商品や物品を再現してアイテムやオブジェクトとして利用する場合も注意が必要です。

絵画や写真、彫刻、モニュメントなどの創作物については、著作権者の許諾が必要となります。

ただし、家具や機器、装身具、携帯用具などの実用品を再現したデジタルコンテンツについても、美術的要素を含む場合は、応用美術として著作権の保護が及ぶことがあります。

ただし、実用品の形状については意匠法による保護があるため、別途著作権法による保護がどの程度適用されるかは一概に言えません。

最近の裁判例は、実用品にも一定の著作権性が認められる場合もあるとしています。

ただし、判断は一様ではなく、作成者の個性が現れているかどうかが重視されることもあり、実用品の著作権性については確固たる判例がないと言えます。

このように、実用品の著作権性に関しては、判断が難しく不安定な状況が続いています。

したがって、実用品を再現する際には、許諾を得るかどうか、あるいは実用品の権利者と協議することが重要です。