IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

アジャイル開発契約をするときの法律的ポイント

システム開発のための法律

アジャイル開発の契約形態

近年のアジャイル開発の外部委託契約では、準委任契約が選ばることが多いです。

アジャイル開発では、契約後に開発プロセスの中で機能の追加・変更や優先順位の変更が起こることが多いため、あらかじめ特定の成果物を完成させることを義務付ける請負契約よりも、専門家としての注意義務を果たしながら業務を進める準委任契約が適している場面が多いためです。

アジャイル開発の強みは、ユーザの必要とする価値を優先し、タイムリーに機能を追加・変更することができる点です。

その過程で、コストをかけても無駄になる作業が生じることもあります。

このため、特定の成果物の完成に対して対価を固定する請負契約では、ユーザの要望に対応する追加・変更がコストの増加を引き起こすリスクがあります。

開発する側からすると、対価を固定するアプローチは、成果物の完成が一定のコストで約束される一方で、利害対立を引き起こし、アジャイル開発の柔軟性が損なわれる可能性があります。

そのため、アジャイル開発の外部委託においては、対価を固定する請負契約は避けるべきです。代わりに、開発の範囲を限定して契約を締結するなど、工夫が求められます。

アジャイル開発の委託を考える際の注意点

準委任契約の利点

アジャイル開発では変更が頻繁に起こります。準委任契約は、変更に対応しながら柔軟に進めることができる利点があります。専門家の視点で適切なアプローチをとることができます。

アジャイルの特性

アジャイル開発の強みは、ユーザのニーズに合わせて柔軟に開発を進めることです。成果物の変更や追加が必要になることがよくありますが、それに伴うコストと労力も考慮する必要があります。

対価の固定と柔軟性のトレードオフ

対価を固定する請負契約は安定感がありますが、柔軟性が制限される可能性があります。アジャイル開発の特性に合わせて、契約内容を検討しましょう。

範囲の明確化

請負契約を選ぶ場合は、開発範囲を明確に定義することが重要です。確定した範囲内で成果物を納品することで、対価の変動やリスクをコントロールできます。

アジャイル開発を請負契約の方法

アジャイル開発を外部委託する際、準委任契約が一般的ですが、実際には請負契約を求めるユーザーもいます。ベンダーは、そのようなユーザーに対して、請負契約とアジャイル開発の適合性の説明を行い、準委任契約を取り決めてもらうよう努力します。

しかし、請負契約が必要な場合、以下の方法が考えられます。

成果が固定できる段階で請負契約を締結する

開発する範囲が確定した部分についてのみ、個別の請負契約を締結します。IPAモデル契約では、このアプローチを想定しています。

ただし、個別契約が増えるため、手続きが煩雑になる可能性があります。また、ベンダー側としては、開発が進まない間もコストを負担するリスクがあるかもしれません。

コア部分やMVPのみ請負う

確定しているコア部分やMVPに対して請負契約を結び、その他の機能についてはオプションとして位置付けることも考えられます。

最初にコア部分とMVPを開発し、その後オプション部分の開発を行います。この場合、コア部分やMVPについては事前に見積もりを行い、契約内容を固める必要があります。