アニメのキャラクターなどのコンテンツを商品化する場合には、著作権法の譲渡権等に抵触するため、これを行うには、著作権者の許諾が必要です。
一般に、著作権者が著作物の商品化を許諾する場合においては、商品化の範囲やその条件に関する定めが必要であり、著作権者と商品化を行う者との間での契約の締結が必要となります。
したがって、著作権者が自分が著作権を有するコンテンツをNFT化し、そのNFT保有者に当該NFT化したコンテンツの商品化を許諾する場合には、両者間においてその範囲や条件について定めが必要です。
NFTは転々流通すること、NFT保有者が匿名である場合があることなどのNFT取引の特性を踏まえると、NFTコンテンツの著作権者と当該NFTの保有者が直接契約を締結する場合は多くないと思われます。
そのため、NFTマーケットプレイス運営者の定める利用規約や販売条件に出品するNFTコンテンツの著作権者による許諾の範囲や条件が、両者間の法律関係を規律することになる場合が多いのです。
NFTマーケットプレイス運営者の定める利用規約は、運営者と利用者の間の法律関係を定めるものであり、運営者の定める利用規約は、運営者とその利用者の間にのみ適用されます。
したがって、これらの者以外の第三者との関係では何らの効力も持ちません。
パブリック型ブロックチェーンにより発行されたNFTは、これと共通のトークン標準に対応している異なるNFTマーケットプレイスでは容易に取り扱うことができるため、あるNFTマーケットプレイスで出品されたNFTが、他の運営者が運営するNFTマーケットプレイスに出品されることもあります。
その場合には、別のNFTマーケットプレイスの運営者、NFTの購入者との間には当該マーケットプレイスの利用規約が適用されることになり、最初のNFTマーケットプレイスの利用規約は適用されません。
そのため、最初のNFTマーケットプレイスの利用規約において当該著作権者による商品化の許諾の範囲や条件が規定され、最初のNFTマーケットプレイスで購入したNFT保有者が当該利用規約に基づきNFTコンテンツの商品化ができる場合であっても、その後、別のNFTマーケットプレイスで当該NFTを購入した利用者は、当該著作権者による最初のNFTマーケットプレイスの利用規約に基づく商品化の許諾がなく、これを商品化することは著作権侵害となると考えられます。