IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

NFTの発行・販売・譲渡と著作権の関係を弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

NFTと著作権に関して、色々とご質問を受けます。今回、そよくある質問について回答してたいと思います。

以下では、コンテンツの著作権がある人を、「著作権者」。そのコンテンツのNFTの発行や販売を行う人を「NFT保有者」と言います。

NFT化されたコンテンツを「NFTコンテンツ」と言います。

NFTの発行や販売と著作権

NFTの発行や販売を行うことによって、著作権者からNFT保有者に対するNFTコンテンツの著作権の移転が生ずるものではなく、当該著作権は引き続き著作権者に帰属し続けます。

そこで、著作権者は、NFT保有者に対して商品化を許諾したコンテンツについてNFTの発行がなされた後、当該NFTコンテンツの著作権を第三者に譲渡することや、当該商品化を許諾した同一のNFTコンテンツについて再度別個独立にNFT化することもできます。

NFTコンテンツの著作権を第三者に譲渡する場合

著作権者がNFTコンテンツの商品化を許諾した後、当該NFTコンテンツの著作権の全部を第三者に譲渡すると、当該第三者が著作権者として、当該NFTコンテンツに関して著作権に基づく権利行使が可能になります。

そこで、当該第三者がNFT保有者によるNFTコンテンツの利用に関し、著作権侵害に基づく差し止めや損害賠償請求をした場合、当該譲渡の前に正当にNFTコンテンツ等の商品化に係る許諾を受けたNFT保有者は、前の著作権者から受けた許諾に基づく利用権を主張できるのでしょうか?

この点に関し、著作権法は、「利用権は、当該利用権に係る著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる」と規定しています(著作権法63条の2)。

これによりNFT保有者は、利用許諾を受けた後に著作権の譲渡がなされたNFTコンテンツの新たな著作権者から別途許諾を得ることなく、前の著作権者からの許諾をもって、NFTコンテンツの商品化を継続することができます。

同一コンテンツの再度のNFTの発行

NFTの発行には著作権法上、NFTコンテンツの著作権者又はその許諾を受けた者により、NFTは発行される必要があります。

NFTコンテンツの著作権者は、NFTを発行したとしても当該コンテンツの著作権を喪失しないため、NFTコンテンツと同一のコンテンツを用いたNFTを複数発行することは、著作権法上可能です。

ただし、利用規約で同一コンテンツのNFT化をNFTマーケットプレイス運営者が禁止している場合もあります。

特に、販売方式がオークションによる高額のNFTの場合には、NFTコンテンツの価値に加え、唯一無二であることや数量限定であることを前提に価格形成がなされる場合があります。

その場合には、同一コンテンツのNFTが発行されてしまえば、その希少性が損なわれ、取引が不安定になる可能性があるためです。

しかし、例えば色のみが異なるコンテンツを「同一コンテンツ」と判断するかどうかは必ずしも明確ではなく、その判断及び適用には困難が伴う場合もあります。

また、同一コンテンツのNFTの発行が禁止されていたとしても、これをもって直ちに同一コンテンツのNFTの発行以外の利用(例えば商品化など)が禁じられているものではありません。

さらに、当該NFTコンテンツの著作権の譲渡を受けた者などのNFTマーケットプレイスの利用規約等の拘束を受けない者による同一コンテンツのNFTの発行は法的に禁止されません。