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メタバースでは、これまでのECサイトやソーシャルゲームと同様に、販促活動の一環として各種キャンペーンが実施され、NFTや暗号資産が無償で配布(エアドロップ)されたり、イベントやゲームの報酬として付与されるなど、取引を誘引するための様々な施策が考えられます。
このような無償配布や報酬として付与されるNFT等については、景品表示法の「景品規制」(プレゼント規制)が適用されるかが問題になります。
このようなインターネット上での懸賞企画については、何かの商品・サービスを購入してはじめて応募できるというのでなければ、景品表示法の「景品規制」には当たりません(オープン懸賞)。
これは、仮にメタバースの利用にアプリのダウンロードや会員登録といった一定の要件が必要とされたとしても同じです。
オンラインゲームのガチャについては、プレゼントではなく、ガチャを回すために課金しているので、まさに取引行為です。
これは景品ではないとされておりメタバースにおける有料ガチャについてもこれと同様に考えることができます。
ただし、特定の数種類のアイテム等を全部揃えると、オンラインゲーム上で使用することができる別のアイテム等を新たに入手できる、いわゆる「コンプガチャ」については、景品表示法上禁止をされています。
ゲームに参加することにより獲得できる参加ボーナスは、取得の都度支払うべき対価がなく無料で獲得できることからすると、施策1と同様に、当該ゲームにおいてアイテム等を購入することが参加ボーナスの付与の条件となっているような場合を除き、基本的には景品類には該当しないと考えられます。
ランキング報酬やイベント報酬等、ゲーム内でのイベントやクエストに参加し、プレイすることによって獲得できる報酬はどうでしょうか?
当該クエストやイベントへの参加に一定のアイテムやキャラクターの購入が参加条件となっている場合や、アイテムやキャラクターの購入が、当該クエストの成功確率の上昇などにより、報酬の獲得を可能又は容易にする場合には、景品規制が適用される可能性が高いです。
ただし、ゲームプレイによる暗号資産の獲得を目指すPlaytoEarnなどの「報酬」としての暗号資産の付与は景品規制が適用されません。
なお、景品規制にいう「取引」は対価を得てするものなので、ゲームの利用者が、ゲームの利用にあたり対価を求められることが一切ない(利用者に対する課金が一切なされない)場合には、当該ゲーム上の行為には景品類の価額規制は適用しないと考えられています。
ゲーム大会に参加し、その結果に応じて付与される報酬は、当該大会への参加に一定のメタバース内での取引(アイテムやキャラクターの購入など)が条件とされている場合や、当該取引が報酬の獲得を容易にさせる場合には、当該ゲーム大会から得られる報酬は、景品規制が適用されます。
ただし、ゲームの利用者が何らの対価の支払(課金)も求められない場合には、景品規制は受けません。
また、いわゆるeスポーツの分野においては、大会報酬の提供先がいわゆるプロゲーマー等、大会運営者等によって魅力ある高いパフォーマンスを行い、観客等にそれをみせることで当該大会の競技性や興行性の向上に資することが類型的に保障されている場合には、大会報酬は「仕事の報酬等」と認められる金品の提供として、景品規制は適用されません。