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仮想通貨を使ったカジノサービスとマネロン規制について【2022年7月加筆】

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

仮想通貨×カジノが注目される理由

仮想通貨や仮想通貨技術を使ったカジノサービスが出てきています。カジノサービスについては、仮想通貨と親和性が高いとされています。

仮想通貨を使ったオンラインカジノの法律上のポイントは、仮想通貨やブロックチェーン技術を使った「オンラインカジノ」は賭博罪で摘発される?を参照してください。

ボラティリティの高さ

仮想通貨の特徴としては、ボラティリティの高さがあります。

仮想通貨自体が投機の対象とされていますので、カジノ利用者層と仮想通貨利用者層が重なる部分があり、仮想通貨の利用先としては、カジノが注目されているのです。

ブロックチェーン技術

カジノについては、運営元がインチキをしていないという信頼性がないと成り立ちません。

ブロックチェーン技術は、改ざん困難な技術であり、それを使うことにより、運営元の信頼性が担保されるのです。

送金

仮想通貨については、送金の速さ、手数料の安さなどから、利用されることが多いです。

特に、オンラインカジノでは、その傾向は、顕著です。

仮想通貨を用いたオンラインカジノ

仮想通貨を用いたオンラインカジノ運営については、以下の2つに大きく分かれます。

  • 法定通貨と同じ用途で仮想通貨を用いるもの
  • ブロックチェーン上で新たなカジノプラットフォームを開発するために仮想通貨を用いるもの

また、イーサリアムのようなスマートコントラクトの機能を持つ仮想通貨を用いれば、単に決済に留まらない仕様を構築できる可能性がありますし、送信の速度が速いリップルのような仮想通貨を用いれば、ベットの承認時間にストレスを感じないカジノが実現しうるかもしれません。

仮想通貨を活用したカジノサービス

仮想通貨を使ったカジノサービスについては、複数あります。今回は、代表的な仮想通貨サービスについて、記載します。

エイダコイン(ADA)

ADAは、「Cardano」という分散型ブロックチェーンプロジェクトのために開発されたものであり、新たなブロックチェーンのシステムを構築しているオープンソース型のプロジェクトです。

Cardanoには、イーサリアムの共同創設者として知られるチャールズ・ホスキンソン氏が開発チームに入っています。

Cardanoは不正のないカジノを実現するゲーミングプラットフォーム、ADAはそのチップとして開発されていたが、その性能の高さから開発チームがより汎用性のあるプラットフォームへと発展させ、現在はオンラインカジノへの活用は単なる機能の1つとなっているとされている。

2016年以降、いくつかの段階に分けてICOを実施しており、Bittrex、Binance、Upbitなどに上場しています。

BitDice(CSNO)

BitDiceは、仮想通貨を用いた公正なカジノプラットフォームの構築のために開発された仮想通貨およびプラットフォームです。

公正で、かつ最速のギャンブルスピードを実現するオンラインカジノを実現するために、種々のテクノロジーを実装し、既にオンラインカジノを運営しています。

ビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、ドージコインの4つが利用できます。その一方で報酬として得られるのはBitDiceのみであり、これをビットコイン等に換金できる仕組みのようである。BitDiceもCardanoと同じく、スマートコントラクトをベースにしたゲーミングプラットフォームを目指しているとのことです。

FunFair(FUN)

FunFairは、利用者、カジノ事業者、ゲーム開発者らをつなげるイーサリアムベースの分散型カジノプラットフォームです。

利用者はFunとよばれる仮想通貨を用いてカジノでペットし、カジノ事業者はFunを獲得して利益を得ます。

他方、カジノのゲーム開発者にも一定のインセンティブ報酬が渡される仕組みとなっており、ゲームそのものを開発することのできるプラットフォームとなっているとのことです。

FunFairは、2017年6月にICOで2600万ドルを調達したことで話題になりました。その後、FunはBinance等の取引所に上場しており、別の仮想通貨と交換することができます。

マネロン規制も

以上のように、オンラインカジノをブロックチェーン上で実現する事業者は、これまでに多数あらわれています。

もともと、仮想通貨が現れる前からカジノは、マネーロングリングに利用されているリスクが高いものとされていました。

犯罪の収益として獲得した資金をチップに交換し、そのチップを用いてゲームを行い、あるいは行わずにチップをまた換金するという方法が用いられています。

仮想通貨を用いたオンラインカジノの運営についても、マネーロングリングの温床となり得るリスクが残ります。

2018年5月14日の毎日新聞によれば、一部の指定暴力団が犯罪の収益として獲得した資金を、まずはビットコインやイーサリアムに交換し、これを取引所で別の仮想通貨(ジーキャッシュ、ダッシュ、モネロなど匿名性の高い仮想通貨)に交換し、出金するという手法で、2016年からおよそ300億円を洗浄していたことが明らかになっています。

指定暴力団仮想通貨で300億円を洗浄 仲介役が証言

参入する事業者に対してはマネーロングリングを防ぐための組織やシステム上の基盤が求められています。
この点は、日本でも規制が強く求められているところです。