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医療法が改正され、病院やクリニックなどで広告についての規制が厳しくなっています。
病院・歯科医院・美容外科クリニック必見!医療法改正における広告規制を弁護士が解説。
また、昨年には、ガイドラインに関するQ&Aも出され、より具体的に、何がOKで何がNGなのかが明確になりました。
医療広告で記載してOKな表現とNGな表現とは「医療広告ガイドラインに関するQ&A」を参考に読み解く。
医療広告ガイドラインに関するQ&Aにみる規制を受ける「広告」とは
今回も、病院・クリニックで、広告可能な表現について、見ていきます。
医療広告ガイドラインについては、医療機関の名称に関して、具体的な規制がされています。
例えば、医療機関の名称に関して、広告が認められていない診療科目を名称に用いることはできないとされています。
では、医療機関の名称に関して、「糖尿病」や「高血圧」等の特定の疾病や症状の名称を使用することは可能でしょうか。
これは、使用可能なものと、不可能なものに分けられています。
治療方法、特定の疾病や症状の名称、診療対象者など法令及び医療広告ガイドライン等により広告可能とされたものについては、医療機関の名称としても使用可能です。
ペインクリニック、糖尿病クリニック、高血圧クリニック、腎透析クリニック、女性クリニック
法令及び医療広告ガイドライン等において広告が禁止されているものについては、医療機関の名称に使用できません。
他の医療機関と比較して優良であることを示すものであったり、事実を不当に誇張して表現していたり、人を誤認させるものについては、NGとされいます。
例えば、「地域一番のクリニック」「全く痛みのない治療院」といった表現です。
医療機関の名称に併せて、「○×医院 糖尿病クリニック」、「〇×病院 ○○センター」は、広告可能なのでしょうか。
これに対しては、病院や診療所の名称については、正式な名称のみを広告可能であり、「○×医院 糖尿病クリニック」、「〇×病院 ○○センター」のように医療機関の正式名称に併せて広告することはできないとされています。
ただし、法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所であるものとして、救急救命センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センター等、一定の医療を担う医療機関である場合、又は当該医療機関が当該診療について、地域における中核的な機能、役割を担っていると都道府県等が認める場合に限り、「〇×病院 ○○センター」と広告可能です。
また、病院ではないところに「病院」、「クリニック」と表記することはできません。
ただし、複数の医療機関・薬局が集まっているビルの名称や商業施設の一角が「○○メディカルモール」等である旨は、広告可能です。
限定解除要件については、患者が容易に視認できることが必要です。例えば、以下のようなケースは容易に視認できる状態ではないと考えられています。
なお、患者の求めがあった場合には、広告可能事項の限定解除の要件として記載されたものと同じ内容を紙面等で提供することが望ましいと考えられます。
病院のホームページが、厚生労働省の医療広告ガイドラインに適合していることをアピールする目的で、遵守している旨を記載し、厚生労働省のシンボルマークを貼ってもよいでしょうか。
医療広告ガイドラインを遵守していることは、特段、強調すべきことではないと考えられるため、過度な記載をすることは誇大広告に該当する可能性があるとされています。
また、厚生労働省のシンボルマークを使用するにあたっては、厚生労働省が公表した資料の転載等を行う際に、厚生労働省シンボルマークが含まれている場合等に限られており、それ以外の目的では使用できません。
医療広告ガイドライン違反があった場合には、どうなるのか。病院・クリニック経営者は、気になると思います。
そもそも、医療広告違反を見つけた場合や医療広告に関する疑問がある場合には、厚生労働省の問い合わせ窓口が、厚生労働省 HP に掲載しています。
また、ネットパトロールに通報してすることもできます。
このような通報は、誰でもできます。競合のクリニックからの通報というのも、十分可能性がありますので、注意しましょう。
また、医療機関の検索が可能なサイトやポータルサイトが医療広告規制に違反している場合、医療機関の検索が可能なサイトやポータルサイトの運営会社等にも、是正が命じられたり、罰則等が科されたりすることがあります。
病院やクリニックについてのウェブサイトを制作する会社も注意するようにしましょう。