先日、厚生労働省から、医療広告ガイドラインに関するQ&Aが出されました。
医療法の改正が、2018年6月1日から施行され、医療法の広告規制が、「ウェブサイトによる情報」も広告規制の対象になりました。
このような中、厚労省からは、医療広告ガイドラインが公表されていました。
今回は、その医療広告ガイドラインについて、さらに具体的な事項について、Q&A方式で、公表されたものです。医療関係の事業者としては、必読の内容になっています。
今回は、医療広告ガイドラインに関するQ&Aについて解説しています。
病院・歯科医院・美容外科クリニック必見!医療法改正における広告規制を弁護士が解説
今回の医療法の改正で、規制される医療機関の「広告」の範囲が広がることになりました。そこで、どのような法律で規制される「広告」になるのかを知ることが必要となります。
そのため、今回の医療広告ガイドラインに関するQ&Aには、具体例が記載されています。
【質問】
医療機関の広告をする際に、新聞や雑誌の記事の引用として、例えば、雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」をそのまま、他の医療機関名も含めて掲載することは可能でしょうか。
【回答】
医療機関の広告に新聞や雑誌の記事等を引用又は掲載した場合、当該記事等の引用部分の記述は、医療法及び医療広告ガイドラインの適用を受けます。
なお、例示の雑誌に掲載されていた「日本が誇る50病院の一覧」等については、他の医療機関名も含めてそのまま掲載したとしても、雑誌社等が評価した結果は、掲載されていない医療機関よりも優れた旨を示す比較優良広告になることから、原則、広告できません。
ここでのポイントは、新聞や雑誌の引用記事でも、引用部分は、規制対象になるということです。
新聞や雑誌に、自身の医院が載ったので、それを紹介しようと思っても、内容によっては、法律違反になってしまう可能性がありますので、注意しましょう!
【質問】
「最新がん〇〇療法」、「〇〇治療最前線」といった書籍や冊子等は、広告規制の対象となるのでしょうか。
【回答】
治療法等を紹介する書籍や冊子等の形態をとっていても、書籍等の内容が、特定の医療機関への誘引性が認められる場合(特定の医療機関のみ可能な治療法や、治療法を行う一部の医療機関のみが紹介されている場合等)には、広告に該当するため、医療法及び医療広告ガイドラインを遵守する必要があります。
そもそも、今回の規制の対象となる「広告」とは、なんなのでしょうか。法令、ガイドラインでは、以下のいずれの要件も満たすものと定義されています。
なので、特定性を満たす場合には、「広告」規制に抵触します。
【質問】
キャッチコピーや院長等のあいさつ文を広告に掲載することは可能でしょうか。
【回答】
医療法や医療広告ガイドラインで認められた広告可能事項(「開院○周年」等)や、通常医療に関する内容とは考えられないあいさつ文(「はじめまして」等)を使用したキャッチコピー等については、広告に掲載することは差し支えありません。
医療法の「広告」については、患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)があれば、規制対象になります。
しかし、あいさつ文であれば、OKということが示されました。広告可能な例としては、以下の通りです。
【質問】
インターネット上のバナー広告の取り扱いは、法改正に伴って変わったのでしょうか。
【回答】
バナー広告に医療機関の名称が記載されているなど特定性がある場合は、広告に該当するため、医療法及び医療広告ガイドラインで認められた広告可能事項に限って、広告可能です。
なお、従前はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトはバナー広告と一体的に取り扱うこととされていましたが、改正医療法施行後はバナー広告にリンクした医療機関のウェブサイトであっても、リンク先の医療機関のウェブサイトは患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトになりますので、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能となります。
バナー広告についても、特定の病院名が記載されている場合には、医療法で規制される「広告」に該当するとされています。
【質問】
患者の希望により配布するメールマガジンやパンフレットは、規制対象となるのでしょうか。
【回答】
患者の希望であってもメールマガジンやパンフレットは広告として取り扱われるため、広告規制の対象になります。
メールマガジンやパンフレットについては、患者が自ら求めたものですが、医療法上の「広告」に該当します。
【質問】
広告規制の対象であるウェブサイトについて、特定の人のみが閲覧可能な場合は、広告規制の対象外でしょうか。
【回答】
当該医療機関に係る情報取得を希望した者のみ閲覧可能な状態(一般人は閲覧不可)であっても、広告規制の対象です。
ただし、患者等が自ら求めて入手する情報を表示する媒体になりますので、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。
一般人向けでなく、特定の希望者にのみ閲覧可能なものであっても、医療法上の「広告」になります。
事業者としては、注意しましょう。