IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
03-6263-0447
10:00~18:00(月~金)

医療広告で記載してOKな表現とNGな表現とは「医療広告ガイドラインに関するQ&A」を参考に読み解く。【2020年7月加筆】

インターネット法律

医療広告で表現可能な範囲とは

医療法の改正が、2018年6月1日から施行され、医療法の広告規制が「ウェブサイトによる情報」も広告規制の対象になりました。

このような中、厚労省からは、医療広告ガイドラインが公表され、広告可能表現についての具体例などが規定されています。

医療広告ガイドラインに関するQ&Aにみる規制を受ける「広告」とは

「医療広告ガイドラインに関するQ&A」にみる医療広告で可能表現とは。 | IT法務や仮想通貨、ICO、AIの法律に詳しい弁護士|中野秀俊

そこで、今回も「医療広告ガイドラインに関するQ&A」の記載から、広告OKな表現例、NGな表現例をみていきます。

診療科名に関する記載

【質問】
診療科名として「総合診療科」は、広告可能でしょうか。

【回答】
「総合診療科」については、広告可能な診療科名ではないことから、広告できません。ただし、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能です。

【解説】
医療広告において、記載できる診療科名には制限があります。よって、その規定は、遵守する必要があります。

記載できる以外の診療科名を記載する場合には、注意しましょう。

専門性に関する資格について

【質問】
医師等の専門性に関する資格名は、広告可能でしょうか。

【回答】
広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」において広告が可能となっている資格名等について広告可能です。

なお、広告に当たっては、「医師○○○○(××学会認定××専門医)」のように、認定団体の名称を資格名とともに示す必要があります。

また、専門性の資格については、各関係学術団体により認定されるものですので、例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等の標記は虚偽広告、単に「○○専門医」との標記は誤解を与えるものとして誇大広告に該当するため、広告できません

【解説】
医師の専門性に関する資格については、厚生労働省が示している「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」に記載されている資格が、限度とされています。

また、資格について記載する場合には、認定団体の資格を必ず明記するようにしましょう。
さらに、単に「●●専門医」という表現は、NGとされています。

日本専門医機構認定の専門医である旨産業医である旨も、「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」に記載されていないので、記載NGとされています。

インプラントによる自由診療について

【質問】
歯科用インプラントによる自由診療については、広告可能でしょうか。

【回答】
我が国の医薬品医療機器等法上の医療機器として承認されたインプラントを使用する治療の場合には、「自由診療のうち医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、その他の治療の方法」に該当し、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記されている場合に限って、広告可能です。

【解説】
インプラント治療の自由診療の記載はOKですが、その記載をする際には、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記が必要です。これを徹底するようにしましょう。

スタッフの写真の掲載

【質問】
従業者の写真は、広告可能でしょうか。

【回答】
法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけでなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現が可能です。

例えば、以下のような表現は、広告可能です。

  • 従業者の人員配置として、病棟又は診療科の従業者の人数、配置状況として写真を掲載すること
  • 医療従事者に関する事項として広告可能な氏名、年齢、性別、役職及び略歴を写真とともに掲載すること

【解説】
医療広告ガイドラインで広告可能とされた事項については、文字情報だけでなく、写真やイラストなどの視覚情報でも掲載OKになっています。

手術件数の表記について

【質問1】
特定の医師のキャリアとして、その医師が行った手術件数は、広告可能でしょうか。

【回答】
医師個人が行った手術の件数については広告できません

なお、患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどについては、広告可能事項の限定解除要件を満たした場合には、広告可能事項の限定を解除可能ですが、求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。

【解説】
原則として、手術件数などについては、広告できません。限定解除要件を満たした場合でも、要求されれば、求められれば裏付けとなる根拠を示し、客観的に実証できる必要があります。

【質問2】
当該医療機関で行われた手術件数について、例えば過去 30 年分の件数は、実績として広告可能でしょうか。

【回答】
当該医療機関で行われた手術件数について、当該件数に係る期間を併記すれば、広告可能事項で示した範囲で広告可能です。

ただし、手術件数は総手術件数ではなく、それぞれの手術件数を示し、1 年ごとに集計したものを複数年にわたって示すことが望ましいです。

過去 30年分のような長期間の件数であって、現在提供されている医療の内容について誤認させるおそれがあるものについては、誇大広告に該当する可能性があります。

【解説】
医療機関で行われた手術件数については、記載することができます。

ただし、その場合には、期間を明示することが必要です。例えば、手術件数●件(2017年度)などです。

また、過去長期間に渡る手術件数を記載する場合には、昔の施術内容と現在の施術内容が異なる場合には、その旨も記載する必要があります。

美容医療におけるプラセンタ注射

【質問】
美容医療におけるプラセンタ注射を用いた施術は、広告可能でしょうか。

【回答】
「プラセンタ注射」は、医薬品医療機器等法上、更年期障害、乳汁分泌不全、慢性肝疾患における肝機能の改善の「効能・効果」を目的に用いる場合のみ認められています。承認された「効能・効果」以外の目的での使用については広告できません

【解説】
美容医療の広告については、施術名を記載することはできますが、承認された効果・効能以外の目的での使用はできないので、注意しましょう。