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AI開発契約「生データ」の権利と取り扱いで注意すべき4つの法律

IT企業のための法律

AI開発における「生データ」の取り扱い

AI開発における契約では、以下のような、流れを取ることが多いです。

  1. ユーザーから、ベンダへ「生データ」を提供
  2. ベンダが、AIソフトウェアを開発
  3. ベンダが、学習用データセットの作成
  4. ベンダが、学習済みパラメータを作成し、学習済みモデルを完成

この、生データについての「権利の帰属」「責任の所在」という点を巡って、さまざまな問題が生じるわけです。

この「生データ」については、どのような権利が認められるのでしょうか。

「生データ」誰がどのような権利を持つの?

生データが、著作権法上、保護されるかは、生データが、著作物に該当するかによります。

著作物とは、何かしらのオリジナリティがある場合に、該当します。

よって、数字の羅列などの客観的な事実などは、著作物には該当しません。一方、写真や文章などは、著作物に該当します。

また、著作物に該当しない場合でも「営業秘密」「限定提供データ」に該当する場合には、不正競争防止法で保護される場合があります。

生データを集めるときに注意すべき法律

AIのソフトウェア開発については、生データの質量が、その後、開発の良し悪しを決めます。

このAI開発については、生データをどのように集めるのかが重要になってきます。

このように、生データを集めるにあたって、注意すべき法律は、以下の通りです。

著作権法

AIのソフトウェアを開発する際には、その目的に応じた生データが収集されます。この生データのコンテンツが、第三者の著作権を侵害するかが問題となります。

この点、著作権法は例外的な扱いとして、「電子計算機による情報解析」を目的としている場合には、取り込みことはOKとされています。

そのため、第三者が著作権をもっている生データについても、AIのソフトウェアを開発するために必要な限度で、自社ストレージに収集することが必要です。

また、2019年1月からは、改正著作権法が施行されていて、このような生データの活用がしやすくなっています。

参考記事:著作権法の改正が「AIビジネス」に与える影響【解説】

個人情報保護法

生データの中に、個人を特定できる情報があった場合には、個人情報保護法の「個人情報」に該当します。個人情報保護法上、「個人情報」については、当該本人の同意を得ないと、第三者に提供してはいけません。

そうなると、他事業者から個人情報が入った生データをもらう場合には、注意が必要です。「個人情報」の権利処理について、きちんと行っているのかは確認するのがよいでしょう。

プライバシー権、肖像権

生データの中に、公道における通行人であったり、公道上の人の挙動に関するデータが含まれている場合には、肖像権などの権利が問題になります。

この点、AIソフトウェアの開発のためだけに、上記のような肖像権が問題になりうる生データを使用する場合には、問題視されることは少ないと思います。

しかし、生データの結果、他人の肖像権、プライバシー権が侵害されるようなソフトウェアが作成されてしまえば、それは、違法になる可能性があります。

ユーザが、生データを提供するときの法律

生データは、ベンダが、ユーザに対して、提供されるものです。

ユーザとしては、生データは、自社の大事なデータであるわけです。ユーザーからすれば、自社にとって重要な生データを適当には扱ってもらいたくないと思うでしょう。

そこで、ベンダとの間において、生データの取扱いなどについて、契約を結んでおくことが考えられます。

例えば、生データの目的外使用禁止、第三者提供の禁止です。特に、生データに個人情報が含まれている場合には、注意が必要です。

もっとも、ユーザは、ベンダ側が、上記禁止にも関わらず、違反した場合に、実態を把握することが困難です。

そのため、契約の中で、ベンダの報告義務、データの保管体制やアクセス権者の制限、さらには、これらのルールをきちんと守っているかどうかを定期的にユーザーにおいてチェックできるような規定を設けることが必要です。