ソフトウェアを社内資料として、コピーしたい。そんな需要があるかもしれません。
ですが、ソフトウェアって、そもそも、コピーできるのでしょうか?
そもそも、ソフトウェアは、著作権法上の著作物なのでしょうか?
ソフトウェアは、著作権法上の著作物に該当すれば、著作権法の適用になり、原則として、コピーなどができなくなります。著作物にあたるためには、何らかのオリジナリティがあることが必要です。
ソフトウェアは、作成者がオリジナリティを発揮して作成したプログラムが含まれていますので、基本的にソフトウェア全体がプログラムの著作物であると考えられます。
したがって、著作権者に無断でソフトウェアをコピーすることは、原則として、著作権法に違反します。
そもそも、違法となるソフトウェアの「コピー」とは、どのようなものなのでしょうか。具体例を挙げると、以下のような行為をいいます。
例外的にコピーができるパターンとは、以下の場合があります。
例えば、ソフトウェアには、1つのパッケージを購入すれば、複数のデバイスにインストールできるとされているものがあります。
このような場合には、当然ですが、コピーをすることが法的にokです。
著作権法には、以下の規定があります。
著作権法第47条の3 プログラムの著作物の複製物の所有者は、自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において、当該著作物を複製することができる。ただし、当該実行に係る複製物の使用につき、第百十三条第二項の規定が適用される場合は、この限りでない。
分かりづらい規定ですが、この規定は、プログラムのバックアップを取ることも著作権侵害になるという不都合を避けるために、規定されたものです。
よって、ソフトウェアをバックアップするために、コピーするのは、法律的にOKです。
また、プログラムのコピーが許されるパターンとしては、「私的使用」の場合があります。
著作権法第30条では、著作権の目的となっている著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、著作権違反にならないとされています。
ただし、ここで問題になるのが、会社の業務として、ソフトウェアをコピーする場合です。
例えば、会社で使用するプログラムやソフトウェアを、自宅での持ち帰り業務として使うために、コピーすることが許されるのかという問題です。
この点について、過去の事例では、社内で他人の著作物を無断コピーして損害賠償請求を受けた裁判例があります。
この裁判例は、設計図を、会社の業務として、無断でコピーしたというもので、裁判所は、私的使用目的のための複製であることを否定し、設計図の使用を許諾するときのライセンス料が通常5%であるとして、被告に600万円の支払を命じました。
これは、プログラムの例ではありませんが、プログラムのコピーの場合でも、同じような判断がされる可能性が高いです。
一般的には、会社の業務で使用するために著作物をコピーすることは私的使用に該当せず、著作権法違反である可能性が高いので、注意しましょう。
以上のように、著作権者に無断で著作物をコピーすることは、会社内部であったとしても、違法である可能性があります。
著作権違反として、高額な損害賠償請求を受ける可能性もあります。事業者としては、十分注意するようにしましょう。