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文化庁がAIと著作権に関する考え方(素案)を公開!AI開発やAI学習段階で注意すべきポイントを解説

ロボット・AI・ドローンの法律

今回は、文化庁が公表をした「AIと著作権に関する考え方(素案)」ついて解説をします。

文化庁の審議会では、AIと著作権の関係に関する議論が進んでおり、2023年12月20日には「素案」が発表されました。この素案は、生成AIが生み出したものと著作権の関係がどうなるのかについて、2023年6月に文化庁がセミナーを開催して基本的な枠組みについて説明されていました。

今回、発表された素案は、6月に示された枠組みを更に深掘りをして、具体的にビジネスにおいて、どういうところが問題なるのかが議論されたものです。

この素案に対してパブリックコメントと言って、皆さんの意見を聞いて2024年3月に改めてまとめるとされています。

文化庁のAIと著作権に対する見解

今回の素案では、大きく2つの段階に分けられています。ここではAIを開発したり、学修する段階について見ていきます。AIサービスを開発する事業者やAI学習をさせる事業者は十分に注意が必要になります。

著作権法上でNGとなる場合

具体的には、コンテンツを取り込むこと(情報解析をする)については、著作権法上は無断でやってOKとされています。

AI開発のような情報解析などにおいて、著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない利用行為は、原則として著作権者の許諾なく利用することが可能

ただし「享受を目的としない利用行為は」とされています。元のコンテンツだとわかるようなコンテンツをつくることが目的の場合はNGです。

例えば、ポケモンを学習させてポケモンメーカーのようなものを作って、ポケモンのキャラクターを作れるようにする場合、これは「ポケモンを生成させる目的」でポケモンのデータを使っているのでNGとなります。

また元のものだけでなく、他のものも生成することが目的の場合でもNGとされています。

具体的事案に応じて目的を判断する例

学習データをそのまま出力させるいとまでは有していないが、少量の学習データを用いて、学習データの影響を強く受けた生成物が出力されるファインチューニングを行う

上記のような場合は、具体的事案に応じて目的を判断するとされました。

例えば、ポケモンのキャラクターを生成するわけではなく、ポケモン風のものを生成するような場合は、その事案に応じて判断するとなります。

著作権者の利益を不当に害するものはNG

著作権者の利益を不当に害するものとして4つの項目が挙げられています。

  1. アイディア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることについて
  2. 情報解析に活用できる形で整理したデーターベースの著作物の例について
  3. 学習のためのふくせいなどを防止する技術的な措置を回避した複製について
  4. 海賊版などの権利侵害複製物をAI学習のため複製することについて

アイディアを生成するのはOK

アイディアをAIで生成するのはOKとされています。写真やイラスト、文章などコンテンツに対して著作権が発生するのであって、アイディアはそもそも著作権では保護されません。

ただし、作風や画風も基本的にはアイディアですが、作品群が共通している作風や画風は「表現といえる」場合がある、つまり著作権者の権利を侵害する場合があるとされています。

データベースの著作権でNGとなる例

インターネット上でデータベースの著作物から情報解析に活用できる形で整理したデータを取得できるAPIが有償で提供されている場合において、当該APIを有償で利用することなく、当該データベースに含まれる一定の情報のまとまりを情報解析目的で複製する行為

APIが有償で提供されているのに、それを有償で使わずに情報解析するのは、著作権者の権利を侵害するのでNGとされています。

海賊版などの権利侵害複製物をAI学習のため複製について

海賊版などのWebサイトから学習データを収集した場合、海外版とわかって生成系AIを作った側も責任を負う場合があるとされています。

まとめ

この素案は、文化庁からAIの開発段階において「こういう場合はダメだよ」ということが細かく書かれています。事業者の方は参考にして下さい。

関連資料:AI と著作権に関する考え方について(素案)/文化庁