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【最新状況】AI(人工知能)に関するアメリカ、中国、EUの法律と今後の法規制

ロボット・AI・ドローンの法律

海外におけるAIの法律

海外でも、AI技術の導入を自国の競争力に結びつけるため、AIに関連する政策や法令改正に向けた議論が活発に行われています。

米国、中国、英国、EUにおけるAIの最新状況について解説します。

米国のAI技術における法規制の現状

米国では、AIは自動運転や顔認証をはじめ幅広く実用化されており、その安全性やデータ・プライバシー保護等の観点から法規制の必要性が議論されてきました。

法規制の現状としては、自動運転に関して、安全性基準やサイバーセキュリティ等に関する 連邦法上の規制を盛り込んだ法案が2017年に議会に提出しました。

プライバシー保護に関しては、医療・児童・通信等の個別分野を対象とした連邦法が存在するほか、商取引において米国連邦取引委員会が消費者保護を目的する一定の規制権限を有するものの、日本の個人情報保護法やEUの一般データ保護規則(GDPR)に相当する分野横断的な連邦法は存在していません。

顔認証技術に関しては、AIにインプットされるデータの偏りが人種差別を増長させる危険があることが一部の研究者から指摘されており、AIによるアウトプットの説明責任を確保するための規制枠組みの必要性が議論されています。

米国のAI技術の今後の法規制

今後の動向は、トランプ大統領が2019年2月11日に署名した大統領令において、以下のことが決まっています。

  1. AIの研究開発のための予算を優先的に確保すること
  2. AIの研究開発 のリソースとして政府が保有するデータへのアクセスを提供すること
  3. AIの研究開発促進のために規制を緩和し、必要な技術基準を設定すること
  4. AIの研究開発および普及のための人材を育成すること

今後は、AIに関する法令が整備される予定です。

中国におけるAIの法律的規制

中国では、国家戦略において、AI に関する法規制および政策システムの構築の重要性を強調しています。

2017年7月20日、国務院は,「新世代人工知能開発計画」を発表し、AI技術を国家戦略として位置付け、法制度については、2030年までにより完備されたAI関連法令、倫理規範および政策システムを確立するとしました。

2019年4月、AIが生成したコンテンツの著作権で保護されるかについて、判決が出されました。

この判決では、AIによって生み出される成果物は、内容、形式、さらに表現の観点からも自然人による作品に近いが、現在の中国法では、自然人による創造を作品の要件としている著作権法の基本的な規範を逸脱することが適切ではなく、現行法に定める作品に該当しないと述べました。

中国では、このような裁判例を含めて、AIに関連する法規制の構築およびその運用がこれからも進展することが想定されます。

EUにおけるAIの法律的規制

EUにおいても、AIは重要なテーマとみなされています。

これは2018年4月10日 の「EU Declaration on Cooperation on Artificial Intelligence」や「HORIZON 2020(ホライズン2020)」において、AIについての大規模投資の提案がされました。

そして、「Ethical Guidelines for trustworthy AI (信頼できるAIのための倫理的指針)」が2019年4月8 日に公表されました。

欧州委員会は、指令に関する指針を出し、AI・IoT およびロボット工学に関し必要な起こりうる変化に関する報告書を発表する予定です。

AIに関する対応は、EU加盟国レベルでも行われており、ドイツ では、2018年11月「Artificial Intelligence Strategy(人工知能戦略)」が連邦政府の承認を受け、発表されました。

これは、AIを取り巻く問題に対処できるように現行の法制度を調整する必要性に言及しています。

また、法的な問題については、AIシステムに関する説明責任の度合い、この先AIが引き起こす損害に誰が責任を持つのか,、プライバシー保護(個人情報)、知的財産権の保護等について議論されています。