前回の「AIやロボットに関してアメリカ(米国)では、どのような展開になっているのか 」は、米国におけるAI、ロボットの状況について、見てきました。
今回、EUやヨーロッパのAI、ロボットに関する議論の状況をみていきます。
ロボット法に関し、まず“RoboLaw-Regulating Emerging Technologies in Europe :Robotics facing LawandEthics”において、ロボットが直面する各種問題につき、法と倫理の側面から議論が開始されました。
また、研究開発プログラム「FrameworkProgram-7:FP7」(2007-2013年)(「FP7」に引き続く研究開発プログラムは、「Horizon2020」(2014-2020年))の枠組みで、2012年3月から2014年5月までの2年間にわたり、次のことが実施されました。
さらに、欧州議会法務委員会は「ロボティクスに係る民事法的規則に関する欧州委員会への提言」(2017年)において、ロボットやAIの法的責任に関連する提言を行いロボット・AIを所管するEU機関の設置やスマート・ロボットの登録制を含 め、活発な議論がなされました。
さらに、欧州委員会は2018年6月に、産業界、学界、市民団体の代表を構成員とする「AIに関するハイレベル専門家グループ“High-LevelExpertGrouponArtificia囗ntelligence”」より、中長期の課題に対応する勧告を行うとともに、倫理ガイドライン案の策定を行っていく旨の発表を行いました。。
以上のように、EU全体でも、ルール作りが進んでいます。
まずイギリスでは、研究開発を所轄する行政庁から交付金を供与されている、工学・物理科学研究会議(EPSRC)および芸術・人文学研究会議(AHRC)が、2010年9月にロボティックス・リトリードを共催し、「Principlesfordesigners,build-ersandusersofrobots」「SevenHigh-LevelMessages」を発表するなど、主に英国の大学研究者らが、社会がロボットを導入するうえでの倫理的な問題 を検討し、さまざまな議論が展開されていました。
イギリスの最近の動きとして、2018年4月に“AIintheUK:ready,willingandable?”において、AIが関わる事象につき、そのリスクを含めて網羅的に検討し、今後の方向性につき提言を行なっています。
具体的には、以下の点が挙げられています。
またフランスでは、国家デジタル研究所が、2015年6月に「人工知能の社会的影響と倫理に関する講演会」を主催し、規制や倫理の側面から議論が展開されました。
最近の動きとしては、ForaMeaningfulArtificialIntelligence:TowardsaFrenchandEu-ropeanStrategy”という議会委員報告書が発表され、AIと経済との関係や倫理面の問題を含めて網羅的に検討がなされています。