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グローウィル国際法律事務所
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データビジネスにとってのデータの取り扱いと法律について

IT企業のための法律

企業にとってのデータ活用とは

企業にとって、データの活用は、事業活動を行っていく上で必須のものになっています。

顧客の購買データや行動履歴のデータ、センサーが収集した温度・圧力・回転数・振動・周波数のデータなど様々です。

このようなデータについては、法律上保護されるのでしょうか?

契約によって利用方法等が定められたデータ

データの取扱いについて、当事者が契約によって利用方法等を定めた場合には、当事者間でそのような合意をした以上、合意した内容に従った取扱いをすることが求められます。

典型例としては、秘密保持契約の下で提供されたデータが挙げられます。

契約による規律は、その内容を基本的に当事者が自由に設定できます。
ただし、契約は契約の当事者のみを拘束し、契約の当事者ではない第三者を拘束することはできません。

不正競争防止法により保護されるデータ

不正競争防止法によって保護されるデータについては、不正競争行為に当たる態様でデータを取得・使用・開示等をした者に対して、差止請求や損害賠償請求をすることができます。

不正競争防止法によって保護されるデータの一類型として「営業秘密」があります。
「営業秘密」とは、①秘密管理性、②有用性、③非公知性を満たす情報です。

したがって、データを営業秘密として保護したい場合には、利用者を限定したり、秘密保持契約書を締結するなどの秘密管理をすることが必要となります。

しかし、データを広く利用してもらうために多数の者に提供するような場合には、データが、秘密管理性・非公知性の要件を満たさなくなり、営業秘密として不正競争防止法により保護できなくなることもありえます。

そこで、平成30年不正競争防止法改正(2019年7月1日全面施行)により、営業秘密に該当しないデータであっても、ビッグデータであり、利用者が限定的されているなどの要件を満たすデータを「限定提供データ」として、不正競争防止法による保護の対象とすることとされました。

なお、不正競争防止法も一般的には知的財産法に含まれますが、営業秘密などの情報を不正なアクセスから保護する法律であり、情報そのものに財産的権利を付与するものではない点で、著作権法や特許法とは異なります。

知的財産権の対象となるデータ

知的財産権の対象となるデータについては、知的財産権法に基づく保護がされることになります。

知的財産権法としてはさまざまな法律がありますが、データとの関連では、著作権法、特許法が問題となることが多いので、これらの法律を中心に取り上げます。
著作権のあるデータとしては、人が執筆した文章や撮影した写真などがあります。

また、データ自体に著作権がない場合であっても、データの集合物についてデータベース著作物として著作権が成立する場合がある。産業用データについてはデータ自体に著作権が成立しないことが多く、データベース著作物となるか否かを主に検討することになるでしょう。

著作権者は、著作物のコピー、改変、譲渡等についてコントロールする権利を有する。すなわち、著作権者以外の者は、著作権者に無断でこれらの行為をすることはできません。

もっとも、著作権法が著作権者の権利を制限している場合があり、第三者が著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる場合があります。

著作権は、小説や音楽などを念頭に立法されたという歴史的経緯から、著作権の成立に「創作性」を求めています。

そのため、一般論としては、単なるデータについては、著作権が成立する要件である「創作性」がなく、著作権が成立しないことが多いです。

データを提供する立場からは、どんなに収集に労力を費やしたデータであっても、創作性のないデータには著作権は成立しない点に注意が必要です。

不法行為法(民法)により保護されるデータ

データの不正な利用は、その態様によっては、不法行為(民709条)として損害賠償請求の対象となります。

例えば、裁判例の中には、データのデッドコピーについて、不法行為による損害賠償責任を認めたものがあります。

この裁判例は、労力と費用を投下して作成したデータペースについて、民法の不法行為の規定により保護される可能性があることを示しています。

そこで、ビッグデータのデッドコピーをした者に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求をすることが考えられます。

もっとも、著作権法で保護されないデータについては原則として損害賠償請求できないことを示唆した最高裁判決もあり、著作権のないビッグデータのコピーに対して、不法行為に基づく損害賠償請求が可能か否かについては議論があります。

なお、不法行為に基づく請求については日本法では金銭的賠償の原則がとられていること(民722条1項・417条)から、差止請求をすることは困難です。

パーソナルデータ

個人に関する情報は、パーソナルデータとも呼ばれています。

パーソナルデータの取扱いについては、個人情報保護法等による規律があり、利用目的の範囲内で利用することや、第三者に提供する場合に本人の同意などを取得する必要があるなど、自由に利用することはできない場合があります。