金融分野において、AIの活用は、様々なところに及んでいます。
現時点でその活用が進められている主要な分野としては、以下の3つが挙げられます。
いずれも、AIの登場前から、統計的・数学的な方法を用いた開発・改良がなされてきた分野であり、一般論として、金融分野とAIとの相性がよいとされていました。
それぞれ、以下のような場面が挙げられます。
(1)でいえば、さまざまなアルゴリズム取引などの資産運用戦略の開発場面
(2)でいえば、信用リスクに関するスコアリングモデリングの開発場面
(3)でいえば、保険料率の算定など保険商品の開発場面
AIによる金融サービスにおける法律には、アルゴリズムによる高速取引(HFT)を規制した金融商品取引法の改正があります。
この法律改正では、以下の3つが定められました。
当該改正では、問題となり得る行為を定義した上で、登録制・届出制とすることで、監督当局として実態の把握に努めることが主な改正のポイントです。
金融審議会市場ワーキング・グループ報告「国民の安定的な資産形成に向けた取組みと市場・取引所を巡る制度整備について」においても、証券会社、取引所、監督当局による実態の把握が困難となっていることについての指摘がなされており、これらの実態把握を行う体制を整えることが、立法の主目的となっていると考えられます。
もっとも、HFTへの規制に関する改正法の制定過程における、2017年5月16日の参議院財政金融委員会における金融庁総務企画局長の答弁において「投資判断にAIが用いられた場合でも、直接的には、どのような取引施設において、どのような金融商品に対し、どのような戦略に基づいて取引を行うことを前提にAIが設計されているかといったような届出をしていただき、注文やキャンセルなどの実際の取引状況は記録していただくと、そうした中で実態を把握していくということになろうかと思っております」と述べられており、AIを用いたトレーディングについても、本規制により一定程度実態を補促することが想定されているものと思われます。
また、ロボ・アドバイザーによる資産運用サービスが発展をみせており、個人資産を人間の手を一部または全部介することを経ずして、運用することを可能とするサービスが登場しています。
投資運用業の登録が必要?ロボアドバイザーや投資関連情報を提供をする場合の法的規制
現状、日本において提供されているロボ・アドバイザーが、ポートフォリオの決定やリバランスの方針を決定するに当たり、AIを利用する場合とAIを利用しない場合とがあります。
またAIを利用する場合でも、より精緻なポートフォリオ・マネジメントを行うことを目的として、機械学習やディープラーニングの手法を取り入れたAIが利用されていく傾向にあり、今後の法規制が注目されるところです。
以上のように、金融サービスについては、これからもっと発展・活用されていくと思われます。
これから法整備がされていきますので、最新の情報に注意が必要です。