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是正勧告の対象になる?企業が実施するストレスチェックの注意点とは

労働の法律

ストレスチェック等の実施義務違反で指導

厚生労働省は、2017年度(平成29年度)に2万5676件の事業所に対する監督指導したことを公表しました。

その中には、例年にはない新たな項目として「ストレスチェック等の実施義務違反」に関する指導状況のデータが含まれていました。

近年、職場でのストレス等による精神障害やそれに伴う労災認定の増加により、行政としても取り組みを強化していると考えられます。

では、ストレスチェックとはいったいどういったものなのでしょうか。

ストレスチェックは精神面の健康診断

ストレスチェックとは、毎年1回、労働者にストレスに関する質問票を記載してもらい、その結果を集計・分析し、労働者のストレスがどのような状況なのかを各労働者自身または会社として把握するための検査です。

現在は、常時雇用する労働者が50人以上の事業所には実施が義務付けられており、50人未満の事業所は努力義務とされています。

「うつ」などをはじめとした精神面での不調を未然に防ぐための取り組みとされています。

ストレスチェックを行う場合

ストレスチェックを行う際には、大きく分けて4つのフローがあります。

1:導入前準備

会社として、ルールを明確にする段階です。衛生委員会で主に次の項目などを検討します。

  1. いつ、誰に実施するのか
  2. 質問票の項目
  3. ストレスが高い人の選定方法
  4. ストレスチェック結果の保存先
  5. 分析の方法
  6. 面接の必要性が発生した場合の申出先や医師の選定

上記などを、あらかじめ会社で決めておき、就業規則等に明文化しておく必要があります。

2:ストレスチェックの実施

ストレスチェックの実施者は、医師や保健師等、その他専門の委託業者が行います。会社が独自に行うものではないとうことに注意が必要です。

ストレスチェックを自社内などで実施する場合には、特に人事権を持つ者は、その記入内容を閲覧しないようにするなど、一定の対策が必要となります。

ストレスチェックの実施後は、担当した実施者が、面談が必要な者の選定を行い、結果を実施者から本人に直接通知されます。

会社が結果を知りたい場合には、本人の同意が必要となります。

3:面接指導の実施や結果に基づき会社がやるべきこととは

ストレスチェックの結果で「医師による面談が必要」と判断された労働者から、面談実施の申出があった場合には、会社は申出があってから1か月以内に面談を行う必要があります。

面接実施後1か月以内に、医師から就業上の措置等の有無や内容について意見を聞き、その意見をもとに休職や労働時間の短縮など、必要な措置を実施する必要があります。

4:結果の分析と職場環境の改善

実施者にストレスチェック結果について、部や課、グループなど一定集団ごとの集計・分析を行ってもらい、その結果をもとに、会社内でのストレスに関する分析や対策などを検討します。

一定の集団については、10人以上の集団とされており、10人未満の場合には、その集団の全労働者の同意が必要となります。

当該集計・分析結果をもとに、職場環境が改善されるような取り組みを検討・実施しましょう。

ストレスチェックや面談実施後の事業所の対応とは

ストレスチェックや面談の結果等は、5年間保存する必要があります。

また、50人以上の労働者を使用する事業者は、1年以内ごとに1回定期に、検査結果に関する報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければなりません。

実施における注意点

検査結果や面談結果は重要な個人情報となります。記録等の取扱いや保管については、適切に管理するように注意しましょう。

また、ストレスチェックを受けないことや、面談の申出をしたこと、結果の開示に同意しないことなどを理由に、解雇や雇い止め、退職勧奨、降格や配置転換などを行うことは禁止されています。

上記の違反やストレスチェック自体の未実施、報告書の未提出については、労働局の是正指導の対象となり、場合によっては50万円以下の罰金に処される可能性があります。

まとめ

精神疾患により労働災害は、従業員の人数にかかわらす発生する可能性があります。

ストレスチェック制度自体は50人未満の事業所を努力義務とされていますが、50人未満の事業所こそ、積極的にストレスチェック制度を採り入れることで労働者のストレスを把握し、快適な職場環境を形成する。