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有休消化での退職は、会社側は認めないといけなのか?

労働案件の法律

退職時の有給消化って、義務?

よくある質問で、従業員から会社を退職するときに、有給消化して辞めたいといわれることがあります。

これは、会社としては、認めなくてはならないのでしょうか?

そもそも、従業員が退職するときは、民法上は、少なくとも2週間前に申し出なければならないとされています。

しかし、会社の業務の引き継ぎなどを考えると、2週間は短い期間です。

従業員に期間をちゃんと取って行ってほしい場合には、就業規則などに、「退職の1ヵ月までに退職届を提出し、引き継ぎ完了後に退職する」という条項を入れておくことが考えられます。

ただし、このような条項については、労働者の同意が必要とされています。

会社側は、有給消化は拒否できない

従業員が退職に際して、有給休暇の消化を希望した場合、企業側は拒否できません。
そもそも、有給休暇は、法律的に認められた権利です。

なので、会社側は、これを拒否することはできず、従業員に引き継ぎのお願いすることしかできないのです。

会社として、引継ぎをしっかりさせたいという場合には、退職金制度が整っている企業では、退職金規程の満額支給の要件に「引き継ぎの完了」を入れておくことが考えられます。

これにより、退職予定者が引き継ぎ拒否をする抑止力になりえます。

年度末の退職延期の申し出

ケースとして、3月下旬での退職を申し出た社員がいたとします。

会社から当該社員に対し、「引き継ぎが終わってから有給休暇に入ってほしい」と上司が依頼したところ、「代わりに2週間退職日を延期してほしい」と言われたとします。

そもそも、会社としては、退職日を延長してまで、全ての有給休暇を消化させる必要はありません。よって、会社としては、応じる義務はありません。

しかし、会社が、従業員に言われるまま、この延期を受け入れた場合には、4月になると新年度分の有給休暇が新たに付与されます。

そうすると、新たに付与された有給をもとに、退職日の延長を要求される可能性もあります。

このようなことがないように、退職日が決まったら会社と従業員で合意内容を書面にし、合理的な理由がない限り変更できないことを原則にしておくことも必要になってきます。

引継ぎ、有休消化には注意が必要

上記のように、会社としては、有休消化自体を拒否することはできません。

ただし、会社としては、その前の引継ぎなどにも注意して、就業規則などで予め決めておく必要があるのです。