IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
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IT・ウェブ企業の利用規約作成弁護士が語る 利用規約作成にとって、大切なポイント

利用規約を作成した…炎上した

以前、このブログでも書いたユニクロ「UTme!」利用規約炎上騒動
ユニクロ「UTme!」騒動に見る 正しい利用規約の作り方

結構なニュースになり、ネットでも炎上したこの騒動…
あの騒動からわずか数ヶ月、今度はテレビ朝日が渦中に巻き込まれることに…

テレビ朝日が、動画投稿サイト「みんながカメラマン」というサービスをリリースしたのですが…
その利用規約の中で、

「投稿動画は、(テレビ朝日側)が、無償で自由に編集・改変して番組で放映するが、問題が発生した場合の解決や賠償の責任は、投稿者が負う」

といった規定があったのです。
要するに、タダで利用はするけど、責任は取ってね
という規約の内容
当然、サービスをリリースをしたその日に炎上してしまいました。

でも、ちょっと待てよと…。ユニクロ、テレビ朝日といえばという日本を代表する大企業。
当然、そこにはきちんとした法務部や優秀な弁護士さんが付いているはず…
そんな企業が作成した利用規約が、なぜこのように炎上してしまうのでしょうか?

「契約書」と「利用規約」の違いを理解していないと大変なことになる

ユニクロやテレビ朝日の利用規約ですが…法律的には、間違ったことを規定はしていないのです。
むしろ、自社の利益を最大化する一方、リスクは最小限に回避するという、契約事項を検討する上では、当然のことをしているようにも思えます。

では、何が問題がというと…利用規約の特性を理解していないことが最大の問題なのです。
1対1の紙の契約書を取り交わすのであれば、一方的に有利な規定をしても、相手方しか見ないですし、
嫌なら契約をしなければいいだけの話になります。しかし、
ウェブサービスの利用規約の場合には、
いつでも誰でも(サービスを利用しない人でも)見ることができる

ここが、1対1の関係で、紙の契約書を締結する場合との大きな違いです!

利用規約を見た人の中に、利用規約の問題点に気付き、SNS等で拡散し、それに乗っかる人が出てきて、炎上する…
利用規約は、そのようなことが起こり得るのです!

利用規約を作成する2つのポイント

では、どうすれば最適な利用規約を作成することができるのでしょうか?
ポイントは、2つです。
①サービスを使うユーザーの視点を意識する

②余計なことは規定しない

以前のブログでも書きましたが、

この条項を記載したら、ユーザーはどう感じるか。
テレビ朝日の利用規約のように、タダで利用はするけど、責任は取ってね
なんて言われたら、ユーザーとして頭にきますよね!
利用規約は、自社に一方的に有利な規定を作成できるからといって、そのまま条項にしてしまうと大変なことになります。

また、投稿者が問題ある動画を投稿して、第三者からテレビ朝日に法的な請求が来た場合…
テレビ朝日は、法律的に投稿者に責任を追及することは可能です。
つまり、利用規約に規定しなくても、投稿者への損害賠償責任は追及できるのです!
利用規約にわざわざ記載しなくてよいものを記載して、炎上させてしまう…これほど、不毛なことはありませんよね!

クライアント(会社)にとって最大限有利な規定を盛り込みつつ、
ユーザー視点から炎上しないような利用規約を作成する
私も、利用規約を作成するときには、本当に気を遣います。

以上の点に注意して、是非、最適な利用規約を作成してください!