労使トラブルの原因の多くは、雇用契約時における労使間の食い違いです。
残業代が出ないなんて聞いてない!
転勤もあると言ったはず!
いわゆる「言った、言わないの問題」です。
では、こうならないためには、また、もしなっても対処できるようにするには、会社はどうしたらよいのでしょうか?
労務問題は、
会社として採用する者が決定した場合、詳細な労働条件を通知することになります。
その労働条件を通知する際は、必ず労働条件通知書や雇用契約書を交付しましょう。
「当たり前」と思うかもしれませんが、特に中小・ベンチャー企業の一人目・二人目の採用だと、友人だったり、前勤務先の後輩だったりなど、既に信頼できる人を即採用!といった形で、就業規則も整備されていないまま、条件は口頭でのみ、なんてことも少なくありません。
就業規則を作るにはどうしても時間がかかってしまうので、まずは労働条件通知書や雇用契約書を必ず作成してください。
また、交付する際には、採用する方の署名捺印をしてもらうことが有効です。
労働条件通知書や雇用契約書には、絶対に書かなければいけないことがあります。
「絶対的明示事項」と言われ、次の6つになります。
これらは必ず書面で明示しなければいけません。(口頭では足りません。)
また、これだけ書いておけばOKかというと、まだ、あります。それが「相対的明示事項」と言われ、次の8つです。
これらについては、会社に定めがある場合に限り、明示する必要があります。
例えば、会社で賞与を支給していれば、2番について。
退職金と賞与の両方を支給していれば、1番と2番両方について記載するといった形になります。
労働条件通知書、雇用契約書は会社が一方的に通知したものか、形式上双方で合意したものか、という違いくらいで、大きな差はありません。
採用者の署名捺印を貰えば、どちらの形式でも採用者が同意したと主張できます。
労働条件通知書や雇用契約書を作成する場合、これらはあくまで一個人の条件通知になるので、就業規則を作成している会社で、社員全員が同じ条件の項目であれば「当社就業規則による」や「詳細は就業規則第○条」などといった形で連動することも可能です。
ただし、就業規則が作成されており、なおかつ就業規則を雇用する社員に交付する場合に限ります。
個別の条件通知と就業規則がチグハグだと、労使トラブルの原因となりますので注意が必要です。
労働条件の明示規定には罰則があり、30万円以下の罰金が定められています。
ただ、罰則よりも、労使トラブルになる方が大きな痛手になることでしょう。「言った言わない」から、訴訟に発展してしまうケースも少なくありません。
訴訟等に発展しない、もしくは発展しても会社を守るためには、雇用する段階において、しっかり事前対策、事前準備が重要になるのです。