現在、医療とITを掛け合わせた分野であるHealthTech(ヘルステック)が盛んです。
医療機器アプリやヘルスケアアプリ、遠隔治療の分野で、HealthTech(ヘルステック)が行われています。
ヘルステック事業が成長している背景としては、日本などの先進国では、社会的なニーズとして、高齢化の加速と人口減少により、医療費の増大が問題視されていること。
また、個人としても、健康寿命をより長く伸ばしたいというニーズがあります。このようなことから、ヘルステック事業は、拡大を続けています。
拡大するヘルステック市場、日米で異なる特徴と課題–メドピアに聞く
ヘルスケアサービスで、まず気を付けるべき法律は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる「薬機法」(旧薬事法)です。
問題になるのは、ヘルスケアアプリが、薬機法上の「医療機器」に該当するかです。
なぜなら、ヘルスケアアプリが「医療機器」に該当すると、行政に対して、下記のような許可が必要になります。
スタートアップやベンチャー企業では、上記のような許可は、手続きが重く、なるべく避けたいところです。
「医療機器」の該当性についての判断ですが、薬機法では、次のようなものが医療機器に該当します。
また、薬機法の政令である薬事法施行令 別表第一には、具体的に「医療機器」にあたる「プログラム」の種類が列挙されています。
そして、厚生労働省からは、「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」というものが公表されています。
これには、「医療機器」該当するかの具体的な基準が定められています。
人の生命及び健康や機能に与える影響等を考慮し、プログラムの医療機器の該当性の判断を行うに当たり、次の2点について考慮すべきとされています。
上記の基準を要約すると、次の2つとなります。
そして、具体的に、医療機器に該当するプログラムに当たる例示を行っています。
「医療機器」に該当しないとされているのは、以下のものです。
以上のように、機能が直接には、診断・治療にならない場合には、当該ヘルスケアサービスやアプリは、「医療機器」にあたらないといえます。
よって、体重記録アプリ・万歩計アプリなどは、「7) 健康管理用プログラム」に当てはまりますし、体重管理アプリ、視力測定アプリなども、「医療機器」には該当しないといえるでしょう。
これを超えて、上記データなどから、アプリで、独自の病名診断などをする場合には、「医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム」として「医療機器」に該当する可能性があります。
ヘルスケアサービス・アプリについては、人の身体のデータを扱うので、利用規約などの取り決めが重要です。
まずは、利用規約の条項を整備する必要があります。
そもそも、利用規約は、ユーザーとの間で、契約書の代わりになるものです。
よって、しっかりと、利用規約を作成し、きちんとした方法で、同意を取る必要があります。
利用規約の同意の取り方は、以下を参照してください。
IT・ウェブ企業専門弁護士が語る「利用規約を作成した後の同意の取り方」
ヘルスケアサービス・アプリについては、事業者の免責事項を、しっかりと規定しておく必要があります。
免責事項を作成する際の注意点としては、事業者が「一切責任を負わない」という条項は、消費者契約法上、無効になる可能性があります。
ウェブサービスで、サービスを提供する場合には、「特定商取引法」の「通信販売」に該当します。
そのため、事業者としては、「特定商取引法に基づく表示」をする必要があります。
具体的な表示方法としては、特定商取引法を参照してください。
また、ヘルスケアサービス・アプリで、個人情報を取得する場合には、プライバシーポリシーを定める必要があります。
特に、ヘルスケアの分野では、身体のセンシティブな情報をし取得することになるため、ユーザー目線でも、プライバシーポリシーはしっかり定めておく必要があります。
プライバシーポリシーの定め方は、弁護士が教える「プライバシーポリシー作成」のポイントを参照してください。