未成年者が、ウェブサービスを利用して、商品やサービスを購入する場合には、法定代理人(親など)の同意が必要です。
同意を得ないで行った契約の申込みは、未成年者は、原則として取り消しができるとされています。
取り消された場合、契約は初めからなかったことになります。
未成年者は、商品の引渡しを受けているのであれば、これを返還する義務を負いますが、その範囲は、商品が残っている場合には、その範囲内に限られます。
未成年者の取消しも、次のような場合には、認められません。
未成年者が法定代理人の同意を得て行った契約の申込みは、取り消すことができません。事後的に法定代理人が同意した場合も同様です。
ECサイトなどでの商品の販売等では、法定代理人の同意を確認することは容易でありません。
事業者は、取引の性質上、未成年者による申込みがどの程度予想されるかや取引の対象・金額等から考え得る取消しによるリスクの程度、システム構築に要するコストとのバランス等を考慮して、申込者の年齢確認及び法定代理人の同意確認のために適当な申込受付のステップを検討しておく必要があります。
未成年者が取引の相手方に対し、成年であるか又は法定代理人の同意があると誤信させるために詐術(ウソ)を用いたときには、当該未成年者は当該意思表示を取り消すことができないとされています。
この点、経済産業省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」は、「詐術を用いた」ものに当たるかは、以下などを考慮するとされています。
例えば、事業者が申込みの受付の際に、「未成年者の場合は親権者の同意が必要である」旨を申込み画面上で明確に表示・警告をして、申込者に対して年齢確認のための措置をとっていたとしても、未成年者が故意に虚偽の年齢を通知し、その結果、事業者が相手方を成年者と誤って判断した場合はどうなるのでしょうか?
直ちに「詐術を用いたとき」に当たるものではなく、その未成年者の意図的な虚偽の通知が「人を欺くに足りる」行為といえるのかについて他の事情を含めた総合判断がなされることになります。
準則では、「取り消すことができる(詐術に当たらない)と解される例」として以下の場合を挙げています。
商品代金の決済に親名義のクレジットカードが利用されていた場合の未成年者取消しについては、以下の点を考慮します。
しかし、単に商品代金の決済に親名義のクレジットカードが利用されていたというだけでは、未成年者取消しが認められない場合に該当するとはいえないと考えられています。
ただし、親名義のクレジットカードが利用されていたとの事実は親の監督義務違反となる事情にはなり、親に対して、損害賠償請求することができる可能性があります。