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アプリをAppStoreに載せようとする場合、AppStore利用規約を遵守する必要があります。AppStore利用規約で近年改正された重要な条項について解説します。
正常に機能しなくなったAppの削除、過去3年間に更新がなく、最小ダウンロード数の基準を満たさない(Appが全くダウンロードされていない、もしくは12か月連続でダウンロード数が非常に少ない)アプリは、Appleからの通知メールの後、90日以内にアップデート提出による改善がない場合にAppStoreから削除される「AppStoreの改善」プログラムが、2022年4月29日より開始されました。
なお、現在利用中のアプリ利用者については、AppStoreからの削除後も引き続きそのアプリを利用でき、サービスが停止されることはなく、アプリ内課金の購入も可能とされています。
自動更新サブスクリプションとは、Appleの通知文によれば、「ユーザーがAppのコンテンツ、サービス、プレミアム機能を継続的に利用できるようにするもの」と定義されています。
いわゆる定期購入のことです。従来、アプリ開発者がサブスクリプションの価格を引き上げる場合、アプリ利用者が事前にその価格を承諾(オプトイン)する必要がありました。
しかし、Appleは、2022年5月16日より、以下3つの条件を満たす場合は、事前にユーザーへの通知を行うことで、ユーザーの承諾アクションなく(オプトアウト)サブスクリプションの価格を引き上げることを可能とする独自のルールを通知しました。
2022年6月30日より、利用者にアプリ内でアカウントを作成させるアプリについては、利用者自身がアプリ内でそのアカウントを削除できる機能を提供することが義務化されました。
主なポイントは以下の3点です。
一例として、Instagramアプリでは、アプリ内メニューの「アカウント削除」をタッチして進むと、アプリ内でWebブラウザが立ち上がり、アプリ内でのログイン情報を引き継いだ形でInstagramウェブサービス上にあるアカウント削除申請ページに接続され、利用者による削除請求が可能となっています。
このような実装方法については、Appleの上記サポートページに「AppStoreReviewガイドラインに記載されているように、App内のリンクからデフォルトのWebブラウザに転送してサインインやアカウント登録する方法は、使い勝手が悪いため不適切です。」との記載があることに注意が必要です。
アプリ内から削除申請が完結できず、デフォルトWebブラウザを起動し申請プロセスをスタートさせる(改めてサービスにログインし直させる)実装方法を採用した場合、Appleの審査上、ネガティブな結果につながることが想定されます。
アプリストア経由で配信しインストールさせることなく、ブラウザ上で実行可能なHTML5を用いてアプリ(ミニアプリ)を配信するニーズが高まっています。
これに対し、Appleは、2020年6月30日付で、HTML5ベースのゲームやBotなどをアプリに組み込んで配信することにつき以下の条件を満たすことを要求するガイドライン改定を行いました。
上記②により、ブラウザアプリをiOSで配信するためには、Appleが中心となって開発されたWebKitをブラウザエンジンとして採用する必要があります。
しかしこのWebKitは、ブラウザ上で実行可能なミニアプリをネイティブアプリと同等に動作させるための機能をサポートすることには消極的です。
Appleは、iOS上で動くブラウザエンジンに技術的制約を課すことにより、ブラウザで実行するミニアプリに関して、自社プラットフォーム上で配信されるネイティブアプリとの競争を発生させない意図があるのでは、という指摘があります。
こうした技術的制約に加えて、ガイドラインが上記①~⑥の制約を課していることにより、アプリ提供者は、iOSデバイスに対しブラウザ上で独自のミニアプリを配信販売し収益を上げることが困難になっています。
ID・パスワードを入力させる認証方式の手間を削減する解決策として、SNS等のアカウント情報と連携するボタンを画面上に設置し、アプリへのログインを簡単にするソーシャルログインと呼ばれる仕組みがあります。特に、Google、Facebook、Twitterのアカウントと連携するソーシャルログインが有名です。
アプリ開発者がこうしたソーシャルログイン機能をアプリ利用者に提供する場合、Appleが提供するソーシャルログイン「Appleでサインイン」についても、同等の選択肢として組み込まなければならず、例えば「Googleでサインイン」ボタンだけを提供することは認められていません。