IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
グローウィル国際法律事務所
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【仮想通貨・法律】仮想通貨ビジネス (ICO、仮想通貨交換業、DApps、エアードロップ) で質問される法律事項への弁護士回答

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

弊社は、仮想通貨事業者の顧問先が50社以上あります。当然、仮想通貨絡みの質問が多く、法律的には、どうなんだということを日々模索しています。

仮想通貨のクライアント企業からの質問について、弊社で法律的に見解を出すのですが、ときには金融庁への質問をし、法律的に大丈夫かということを確認をしています。

仮想通貨ビジネスで、多く質問される法律事項を回答します!

そんな、仮想通貨ビジネスの法律の最前線で、業務を行っている弊社ですが、その中でも、ご相談が多い質問について、法律的な見解を述べたいと思います。

※なお、以下の見解は、 弊社が、仮想通貨事業者からのご質問に対して、弊社での調査及び関係機関への調査をして、弊社でまとめた結果です。今後、法律的な見解が変わることがありますので、仮想通貨事業者におかれましては、専門家に相談することをお勧めします。

「不特定の者に対して使用」についての質問1

質問:将来的に取引所に上場する可能性がある場合であっても、いまだ限られた者に対してのみトークンを発行している場合、法律上の仮想通貨の定義である「不特定の者に対して使用」(資金決済法2条5項1号)ないし「不特定の者を相手方として」(同2号)には当たらず仮想通貨には該当しないと考えてよいか。

回答:いいえ。仮想通貨に該当します。仮想通貨の法律的な定義は、以下の通りです。

1号仮想通貨

①物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、
②これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、
③電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

2号仮想通貨

不特定の者を相手方として、
②ビットコインなどの仮想通貨と相互に交換を行うことができる財産的価値であって
③電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

条文上の「不特定の者」という要件が問題になりますが、現段階で限られた者に対してのみ発行している場合であっても、将来的に上場する可能性があるのであれば、いわゆる不特定性は満たすと考えられています。

そのため、将来的に上場する可能性がある仮想通貨を販売するためには、仮想通貨交換行の登録が必要になります。

「不特定の者に対して使用」についての質問2

質問:トークン自体が売買や譲渡できる機能がついている場合であっても、ゲーム利用者のみなど限られた者に対して売買や譲渡機能がついている場合「不特定の者に対して」に当たらないと思われるがかかる理解でよいか

回答:ゲームに参加できる利用者が無制限なのであれば上記文言は満た仮想通貨に該当するとしています。たとえば、100人限定でできるゲーム等であれば同文言は満たさず、当該トークンは、仮想通貨にあたりません。具体的な人数についてはそのゲームの内容等に照らして個別具体的に判断するとされています。

以上にように、自社サービス内でのみ使用できるトークンであっても、ゲームに参加できる人を制限する必要があります。

仮想通貨等を預かり引き出す行為についての質問

質問:仮想通貨等を預かり、引き出す行為は「交換」「売買」にあたらず、仮想通貨交換業の登録は不要と思われるが、その理解でよいか。

回答:はい、 仮想通貨交換業の登録は不要です。

「資金移動業」の登録についての質問

質問:預かった仮想通貨等を送金できるようにした場合「為替取引」に当たり「資金移動業」の登録が必要か、仮想通貨等は「金銭」にあたらず登録不要か

回答:
スキームや利用者状況などを検討して仮想通貨等が「金銭類似」の性質をもつかで判断することになります。

金銭類似かは、たとえば、ビットコインやイーサリアムなどの価格が変動するものについては、「金銭類似」とはいえない可能性が高いです。

一方、MUFGコインのように、1コイン=1円という固定相場制の場合には、「金銭類似」になる可能性が高いです。

仮想通貨交換業の登録についての質問

質問:トークンを所持することで報酬として仮想通貨等を渡す場合には「売買」「交換」に当たらず仮想通貨交換業の登録は不要と思われるが、その理解でよいか

回答:こちらは、仮想通貨交換業は、不要です。

金融商品取引法のファンド規制の対象についての質問

質問:いわゆるICOのような形でトークンを発行していた場合、トークン所持量に応じて報酬を与えることは金融商品取引法のファンド規制の対象となるか。トークンは「金銭」に当たらないため規制対象に当たらないという理解でよいか。

回答:現段階では、仮想通貨は「金銭」には当たらないため、ファンド規制にはかかりません。ただ、こちらは、金融庁としても議論しているところで、将来的に規制が入る可能性があります。

仮想通貨の貸付についての質問

質問:利用者が他の利用者に仮想通貨を貸して、他の利用者から仮想通貨を貰う いわゆる仮想通貨の貸付については、「売買」「交換」にあたらないため仮想通貨交換業は不要ということでよいか?

回答:こちらは、法律上は、不要です。ただし、金銭の貸借が、実質的に「交換」と同様と見られれば、仮想通貨交換業の登録は必要と考えられます。

「貸金業」(貸金業法2条)についての質問

質問:仮想通貨の貸付を業として行う場合、貸金業法上の「金銭貸借の媒介」に当たり「貸金業」(貸金業法2条)にあたるか。

回答:こちらは貸金業法が問題となるスキームではあるが、仮想通貨が「金銭類似」の性質をもつかで判断されます。金銭類似かは、前述の通り、たとえば、ビットコインやイーサリアムなどの価格が変動するものについては、「金銭類似」とはいえない可能性が高いです。

一方、MUFGコインのように、1コイン=1円という固定相場制の場合には、「金銭類似」になる可能性が高いです。

ゲーム内のモンスターが仮想通貨に当たるのかについての質問

質問:ゲーム内のモンスター等が、仮想通貨と交換出来る場合に、そのモンスターが、完全に代替不可能な場合(例、全く同じモンスターが存在しない)は、モンスター自体は仮想通貨に当たらないという理解でよいか

回答:はい、基本的にはそのとおりです。当該モンスターが一匹しかいないなどの場合においては、そのモンスターは通貨ではなく一つの物として扱うので、「仮想通貨」には該当しません。

エアードロップで、トークンを配布についての質問

質問:エアードロップで、トークンを配布し、無償でトークンを発行し、外部の取引所で上場し、売買されるようにする場合には、仮想通貨交換業は不要か

回答:この場合は、不要です。無償でトークンを発行し、自社のサービスの外で売買されるようにすること自体を規制する法律はありません。

海外法人が、日本居住者以外に仮想通貨を販売する場合についての質問

質問:海外法人が、日本居住者以外に仮想通貨を販売する場合には、仮想通貨交換業は必要か

回答:不要です。ただし、KYC(本人確認)で、日本居住者は除外するという前提です。日本居住者を除外は、徹底して行うことが必要です。

たとえば、日本語のウェブサイトは、作らない、ホワイトペーパーにも、日本居住者は対象でないと記載する、日本からのIPアドレスと思われるものは、除外するなどです。

日本法人が、日本居住者以外で仮想通貨を売る場合についての質問

質問:日本法人が、日本居住者以外で売る場合には、仮想通貨交換業は必要か

回答:不要です。もちろん、上記の日本居住者の除外を徹底することは、同様です。しかし、こちらは、日本法人なので、金融庁の監督範囲内です。

例えば、海外で変な売り方をして、海外から指摘された場合には、金融庁から日本法人に指導や行政処分が下る可能性もあります。

まだまだ固まっていない仮想通貨の法律

以上のように、2017年4月1日に施行された仮想通貨法(改正資金決済法)ですが、その施行後も、ICOなど法律制定時には、想定されていなかったものが出てきており、金融庁などの監督官庁も対応に追われています。

法律的には、一見、大丈夫そうでも、金融庁の見解ではアウトという事項もあります。仮想通貨事業者は、最新の情報をもとに、事業を進めるようにしましょう!