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IOTの法律に関しては、このブログ記事でも、紹介してきました。
IOTに関する法律的な問題点をIOTビジネスに詳しい弁護士が解説
IOTビジネスは、法律的に多くの問題を抱えていますが、その中でも、特に問題となるのが、著作権、商標権、特許権などの知的財産権です。
IOTビジネスは、先進的な取り組みをしているところが多く、知的財産権を保護しておきたいと思うところも多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、IOTビジネスのための知的財産権戦略について、解説していきます。
IOTビジネスにおいて、問題となる知的財産権の内容は、以下の通りです。
IOTビジネスは、ハードとソフトの組み合わせであるため、新規の発明といえるものも多くあります。
そうなると、特許権の取得も視野に入れる必要があります。
特に、自社ビジネスの技術的な部分について、他にも応用できる可能性がある場合には、特許権を取得して、自社のIOTビジネスを守る必要があります。
特許権を取得するためには、新規の発明をいえるほどの技術が必要ですが、それほどのものでなくとも、著作権で保護される場合があります。
著作権は、何らかのオリジナリティがあれば、著作権法上、保護されます。
よって、IOTビジネス事業者については、プログラムを保護したい場合やコンテンツを保護したい場合には、著作権を意識する必要があります。
著作権は、特許権、商標権などと違い、登録の必要がないので、パクッた、パクられたが、起こりやすいものです。
IOT事業者としては、パクられた場合、パクってしまった場合の対処法を決めておく必要があります。
サービス名やロゴなどを保護したい場合には、商標権を意識する必要があります。
商標権については、自社サービス名、ロゴ一つ一つに権利が必要になっていきます。
いつ商標を取るのか(サービスリリース前、リリース後)を含めて、検討する必要があります。
意匠権は、製品のデザインを権利化するものです。デザイン自体を保護したい場合には、意匠登録を検討する必要があります。
上記のような、いわゆる知的財産権に含まれない情報でも、自社の重要な情報や他社に漏洩されたくない情報については、不正競争防止法上の「営業秘密」として、保護されるかを検討する必要があります。
企業が持つ“大事な情報”が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合に、民事上では損害賠償、刑事上では刑事告訴などの措置をとることができます。これは、不正競争防止法という法律で規定されています!
この「大事な情報」が、不正競争防止法の「営業秘密」に当たれば、自社としては、持ち出した方に民事上、刑事上の責任が問うことができます。
不正競争防止法の「営業秘密」としてに該当するためには、以下の要件を満たす必要があります。
このうち、特に重要なものが、①秘密として管理されていること(秘密管理性)。
要するに、大事な情報だったら、社内で秘密に管理しておきましょう!ってことです。
ここで、「秘密管理性」とは、第三者から客観的にみても、当該情報が秘密として管理されている必要があるのです!
経済産業省では、不正競争防止法による保護を受けられるための基準として「営業秘密管理指針」を作成しています。
IOTビジネスについては、ハード、ソフト、通信などの様々なパーツが組み合わさってできているものです。
知的財産戦略を考える上では、IOTビジネスの構成要素ごとに、知的財産戦略を考える必要があります。
IOTビジネスの特長であるハード面。ハード単体で、新規の発明と言える場合には、特許権の取得が考えられます。
また、デザインについては、意匠権の取得が考えられます。
もっとも、IOTビジネスの場合には、ハードとソフト、通信面などが合わさって、一つのビジネスをなしているので、ハード単体での権利化は難しいかもしれません。
センサーやハードの表示部分(GUI)については、検討する必要があります。
ソフト面については、プログラムを保護するために、著作権での保護が考えられます。
また、自社の重要のノウハウなどは、「営業秘密」として、保護されるようにするべきです。
ここも、IOTビジネスでは、必須の部分です。ハードと結びついている部分なので、ハード面とともに、特許権の一部を構成する場合があります。
IOTビジネスで、実際に特許権が取得された例は、数多くあります。
これは、靴に装着されたセンサから得た情報に基づき、足の軌跡や角度などを分析し、運動支援をするというものです。例としては、以下などが可能になります。
経路形状判定装置、運動支援システム及びプログラム
これは、指輪型のウェアラブルデバイス「ZERO」を展開しており、各種センサが、指輪形状になっている点が特許権を取得しています。
ジェスチャ入力システム
IOTビジネスは、先進的なビジネスが多く、世界を変える事業も多いです。その分、知的財産戦略が重要になっていきます。
IOT事業者は、自社ビジネスについて、知的財産戦略をどうするのか、考えていく必要があります。