スマートフォン用のアプリをユーザーに対して配布するためには、多くの場合、リリース企業がユーザーに直接配布するのではなく、両者の間に、プラットフォーマーとして、Apple、Googleなどの第三者が介在することになります。
そのため、リリース企業は、プラットフォーマーの定める「ルール」に従ってアプリのリリース・運営を行わなければなりません。
以下では、代表的なプラットフォーマーの1つであるApple(「App Store」)を例に、「ルール」の内容を解説します。
AppleのApp Storeを経由してアプリのリリースを行うためには、Appleとの間で以下の所定の契約を締結する必要があります。
上記のほか、プラットフォームを利用して自らが行おうとする活動の内容に応じた規約への同意が必要です。
さらに、上記のデベロッパー規約に加えて、アプリ開発を行う上で、プラットフォーマーにより求められる具体的な仕様に従う必要があります。
具体的には、App Storeでリリースしたいアプリの開発後、Appleに対して審査の申請を行います。
Appleは、申請を受けると「App Store Reviewガイドライン」の内容に従ってこれを審査し、これに則したアプリであると承認されれば、無事にリリースされ、そうでなければ、却下(リジェクト)されることになります。
Appleは、リリース審査の際のリジェクト理由になりやすいものを自身のウェブページ上で紹介しています。
具体的には、以下などがあげられます。アプリの開発にあたっては、特にこれらに注意が必要です。
App Store Reviewガイドラインでは、たとえば以下のようなアプリが具体的に禁止されており、これを理由としてリジェクトや、アプリの仕様等の変更を求められた事例も発生しています。
また、App Store Reviewガイドラインでは「Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実(AR)マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません」
以上のように、アプリ内課金(AppStoreでの決済)を回避する決済手段を禁止しており、アプリ内のコンテンツのみならず、その仕様についても具体的な制限を課しています。
以上のように、アプリ事業者が、Apple、Google経由でアプリを販売する場合には、法律を守ることはもちろんのこと、プラットフォーマーの規約を確認する必要があります。
法律は守っていても、プラットフォーマーの規約を守らないと販売できませんので、事業者としては、きちんと確認するようにしましょう。