オンラインゲームを開発するときに、完全に自社開発するのであれば、契約問題等はあまり生じません。
これに対し、ゲームのシナリオキャラクターやデザインゲーム内で使用する音楽等を外注する場合については、そのクリエーターとのあいだで、業務委託契約を締結する必要があります。
そのときに注意しなければいけないのは、クリエイターが開発したコンテンツについて、著作権の帰属をどうするかということです。
料金を払っているんだから著作権は自分のものと思う事業者もいるかもしれませんが、著作権は、基本的に手を動かした者に発生します。
よって、発注した事業者にコンテンツの著作権を帰属させたい場合には、著作権をクリエーターから事業者に譲渡すると言う契約を結ぶ必要があるのです。
また、ゲーム自体の開発を外部に委託するような場合には、そのプログラムについての著作権についても決めておく必要があります。
開発契約であるのが、汎用的に利用可能なルーチンプログラム等の著作権は、外部の開発業者に留保される場合です。
このような場合については、事業者として同じようなオンラインゲームを制作する場合には、元の開発業者に許可を得る必要があるので、注意が必要です。
また、漫画やアニメなどをゲーム化する場合については、そのコンテンツの権利を有する著作権者に対して、そのコンテンツの利用許諾の契約をする必要があります。
またプロスポーツ選手や芸能人などを利用する場合については、肖像権やパブリシティーに関する契約を締結する必要があります。
利用許諾契約については、コンテンツの利用に関して、細かな諸条件を定めることになりますが、原作のイメージからかけ離れた利用すると、原作のイメージが崩れたとして紛争になる場合があります。
このようなトラブルを避けるためには、あらかじめ原作者の意向踏まえつつ、細かな規定をしておく必要があります。
また、オンラインゲームについてゲーム内通貨を購入し、相手も購入するような場合については、資金決済法に関する法律や特定商取引法の表示義務等が必要になります。
また、オンラインゲームの内容が、カジノ的な要素がある場合には、賭博罪の適用可能性も検討する必要がありますし、ゲーム内の表記については、景品表示法上に違反しないようにすることも必須です。
オンラインゲームについて、iPhoneやアンドロイドなどのスマートフォンキャリアを通じてゲームを提供する場合、またはグリー、モバゲーのSNSサイトを通じてオンラインゲームを提供する場合には、プラットフォーム事業者との契約を締結する必要があります。
このような契約について、注意しなければならないのは、利用者情報の取り扱いです。
特にプラットフォーム事業者との契約が終了した場合、このオンラインゲームに関連して蓄積された利用者情報についてどのように扱われるのか、契約当事者の一方に事業承継等があった場合に、利用者情報は新しい当事者に引き継がれるか等については、確認する必要があります。
オンラインゲームの場合、ゲーム提供会社の利用者との間で、利用規約などによって契約を締結することが考えられます。
この利用規約が効力を持つためには、利用者に利用規約への同意ボタンを押させる必要があります。
利用規約といっても事業者が一方的に有利な内容を定めてもいいわけではなく、例えば消費者契約法に違反する条項については無効になります。
また利用規約の内容として、利用者の禁止行為やそれに反した場合の利用停止措置、リアルマネートレード等の禁止などを規定しておく必要があります。
さらに、オンラインゲームについては利用者の個人情報・個人データなどを集める場合が多くあります。そこで利用者との間の利用規約において、個人情報の取得の利用目的・第三者提供の有無なども規定する必要があるのです。