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アプリやECサイトに必要な特定商取引法に基づく表記を弁護士が解説【2024年6月加筆】

アプリ開発&トラブルの法律

アプリやECサイトにおける「特定商取引法に基づく表記」

アプリやECサイトをみていると、「特定商取引法に基づく表記」というのを見たことがあると思います。

そこをクリックすると会社の名前や住所、電話番号、商品・サービスの価格、返品の可否などが記載されています。

この表記のことを「特定商取引法に基づく表記」といいます。
自社でアプリやECサイトなどのサービスを提供しようとする場合には、この「特定商取引法に基づく表記」というものを作らなければなりません。

特定商取引法に基づく表記には、ルールがあり、それに則って記載しないと罰則があります。
そこで、今回は、特定商取引法に基づく表記のルールについて、解説します。

特定商取引法に基づく表記をしないといけない場合

特定商取引法に基づく表記をしないといけない場合とはどのような場合でしょうか。
IT企業、ウェブサービス企業で関係してくるのは、法律上、「通信販売」に該当する場合です。

通信販売とは、ものすごく簡単にいうと、インターネット上で、商品・サービスを売っている事業者のことです。
よって、ウェブサービスやアプリサービス事業者は、この通信販売事業者にあたり、特定商取引法の表記が必要になるのです。

特定商取引法に基づく表記をしないと、どうなるの?

特定商取引法に基づく表記が、法律上、必要なのは分かったけど…実際やらなかったら、どうなるの?
特に罰則とかないんだったら、ぶっちゃけ記載しなくてはいいのではと思うかもしれません。

しかし、法律上、特定商取引法に基づく表記をしないと、
・行政から指導・社名公表
・業務停止

などの措置が下る可能性があります。

このような措置が取られると、インターネット上でも社名が出てしまうため、社会的な信用がなくなってしまいますので、注意が必要です。

特定商取引法の表記のテンプレート

では、実際どのように、特定商取引法の表記を記載すればいいのか、なかなか理解しづらいと思います。
そこで、必須項目について解説します!

「特定商取引法に基づく表記」の具体的な記載方法

テンプレートにある項目について、その記載の仕方をみていきましょう。

①提供する商品・サービスの名称

サービス名 〇〇〇〇

ここは、御社商品・サービス名を記載してください。

②販売事業者名(法人の名称)

販売事業者名 みらいチャレンジ株式会社

こちらは、法人の場合は、法人名を記載します。
登記されている名称を記載する必要があります。

個人事業主の場合は、個人の氏名(本名)を記載する必要があります。
ビジネスネームなどは認められていません。

(3)代表者名(責任者名)

代表者名 代表取締役 中野秀俊

ここは、必ずしも、代表取締役である必要はありません。
責任者でも大丈夫です。
ただし、責任者として記載されたからには、何か問題があったときに責任を負うことになりますので、注意しましょう!

(4)所在地

所在地 〒○○○-○○○○
東京都中央区京橋1丁目6−13金葉ビル7F

事業者の所在地を書きます。

個人事業主の場合、住居でなくバーチャルオフィスなどでも可能です。
しかし、その場合には、
・実際の住居ではないこと
・ユーザーからの請求により、実際の所在地を記載した書面又はメールを送付すること
を表示する必要があります。

(5)問い合わせ先

お問い合わせ こちら(****@****.co.jp)からお問い合わせください。

ユーザーからの問い合わせ先の電話番号を記載する必要があります。

※弊社電話番号はお客様からのご要望に基づき遅滞なく電子メールにて通知いたします。弊社電話番号が必要なお客様は上記フォームよりお申し出ください。

お客様からの問い合わせ先を書きましょう。

電話番号を直接載せてもかまいませんが、いたずら電話などが心配な場合はテンプレートのようにメールでの通知をおすすめします。

(6)販売価格(代金・利用料)

販売価格 購入手続きの際に画面に表示されます。消費税は内税として表示しております。

基本的に、商品そのものの販売価格を書きます。

事業者が消費者から消費税も徴収する場合には、消費税を含んだ価格を意味します。

テンプレートのように別途明記するものアリです。。

(7)ユーザーが負担すべき金銭(通信料、送料等)

販売価格以外でお客様に発生する金銭 当サイトのページの閲覧、コンテンツ購入、ソフトウェアのダウンロード等に必要となるインターネット接続料金、通信料金は、お客様のご負担となります。

アプリをダウンロードするときやアプリ起動中って、ネットの通信費がかかりますよね。

こういった通信費のように、商品やサービスを買う際などに、本体の商品とは別に、ユーザーにかかる費用がある場合には、その金額をすべて表示する必要があります。

例えば、ネットの通信費、工事費、設置費、代金引換手数料などです。

【ダメな表示例】

  • 送料のほか、常識の範囲内での梱包手数料をいただきます。

上に挙げた例は、箱詰めや設置が必要な商品を売るケースになりますが、アプリを提供する場合であれば、テンプレートのようにサイトの閲覧やダウンロードに必要な通信料金は消費者負担になることを記載しましょう。

(8)代金の支払い方法

お支払方法 以下のいずれかのお支払方法をご利用いただけます。

・各種クレジットカード
・携帯電話の料金回収サービス
・その他、購入にかかる決済を代行する会社が提供するお支払方法

ここでは代金の支払い方法をすべて書きましょう。

他の支払い方法があるのに、ここに一部の支払い方法しか載せないというのは認められません。

(9)商品の購入方法

商品購入方法 App Store・Google Playで提供する各アプリケーションの詳細ページから「購入」ボタンを押下し、各種お支払方法で決済していただきますと、アプリケーションがダウンロードできるようになります。

商品の購入方法を記載します。

アプリなどの提供媒体や、ダウンロード方法を表示しましょう。

(10)商品の利用が可能となる時期

デジタルアイテム等の利用が可能となる時期 特別な定めを置いている場合を除き、お支払い手続き完了後直ちにご利用いただけます。

購入された商品の利用可能時期を書きます。

アプリの提供の場合、テンプレートのように支払い手続き完了後に直ちに利用できるケースがほとんどでしょう。

(11)アプリケーション等の動作環境

動作環境 アプリケーションによって利用環境・対応機種が異なります。各アプリケーションのダウンロードの前に、必ず各アプリケーションの詳細ページで利用環境・対応機種をご確認ください。

動作環境について書きます。

アプリの中には、App Storeでのみダウンロードできて、Google Playではダウンロードできないなど、デバイスの種類や状況によって、利用できないものが多くあります。

そのため、アプリの動作環境(アプリを使用できるOS・CPUの種類やメモリの容量など)についての情報が必要になります。

(12) 返品・キャンセルについて

返品・キャンセル 1.お客様のご都合による返品・キャンセル
商品の性質上、各アプリケーションご購入後の返金・返品はできかねます。あらかじめ月額コース対象コンテンツ、利用環境・対応機種および各アプリケーションの利用環境・対応機種をよくお確かめの上、お申込み、もしくはご購入願います。2.アプリケーションの瑕疵に基づく返品(キャンセル)
アプリケーションに瑕疵が発見されたときは、瑕疵を修補したアプリケーションをアプリケーションのバージョンアップ又はその他適切な方法で提供いたします。3.その他、App Store・Google Playなどの各アプリケーション提供サイトの取り決めに従うこととします。

返品・キャンセルについて表示します。

返品やキャンセルを認めるか否か、その条件は何か、送料の負担の有無などを記載しましょう。

また、商品に瑕疵があった場合の事業者の瑕疵担保責任についても定める場合はここに表示しましょう。

【ダメな表示の例】

  • ノークレーム、ノーリターン
  • 返品不可

⇒瑕疵がない場合の返品の可否についても明確に表示しましょう。

(13)販売数量の制限等、特別な条件

特別条件 1.クーリングオフについて
特定商取引法に規定されているクーリングオフが適用されるサービスではありません。2.定期課金方式の注意事項
契約期間途中の解約となった場合も契約満了日までの料金が発生し、日割生産等による返金を含めた一切の返金は行われません。この場合、サービスも契約満了日まで提供されます。

上記項目以外になにか特別な条件がある場合にはここで表示します。

テンプレートのようにクーリングオフについて記載したり、そのほか、未成年者が契約する場合に保護者の許可を得ることなどを記載しましょう。

7 どこに掲載すればいいのか?

「特定商取引法に基づく表記」は、わかりやすい表現で、かつ、消費者がすぐに見つけられる場所に掲載しましょう。

なぜなら、「特定商取引法に基づく表記」は、アプリなどのサービスを買う際に、ユーザーが知りたい情報を盛り込んだものなので、見えにくい場所に置かれていたのでは、ユーザーにとって意味をなさないからです。

具体的には、

  • 「特定商取引法に基づく表記」について、専用のページを設ける
  • その上で、商品の購入ページに「特定商取引法に基づく表記」へのリンクを用意する
  • さらに、トップページにも「特定商取引法に基づく表記」へのリンクを用意する

という3つのポイントを守りましょう

特商法では、表記をホームページ上のどこに掲載すべきか?については特に決められていないため、どこに「特定商取引法に基づく表記」をするかは事業者の自由です。

しかし、ユーザー目線に立ち、トップページやその他のわかりやい場所に一括して表示させるなど、誤解のない様な見やすい場所に表示をすべきですね。

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