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著作物の利用許諾について法律的注意点、対応策のポイントを解説

著作権に関する法律

著作権の利用許諾とは

著作権者は、複製権などの色々な権利の集合体です。第三者が無断で複製などを行えば、原則として著作権侵害となります。

一方、著作権者は他人に対し、著作物の利用を許諾することができ、許諾を得た者はその範囲内において、適法に著作物を利用することができます。

許諾権限の確認

利用許諾の有無を検討する際、きちんと許諾権限を有する者から許諾を受けているのかについては、注意が必要です。

著作権者自身から許諾を受ける場合であれば、あまり問題となることはありませんが、著作権者以外の者が許諾窓口となっているような場合には、その者に許諾権限があるのかどうか、どのような範囲の利用について許諾権限があるのかなどについて確認する必要があります。

許諾範囲の明確化

また、利用許諾の範囲についても注意が必要です。利用できる範囲が契約書などで明記されていればわかりやすいのですが、口頭で許諾が行われることもありますし、契約書の記載が明確ではない場合もあります。

それによって、どのような利用まで許諾されているのかが不明確になってしまい、その範囲をめぐってトラブルになるケースも多々あります。

利用許諾の際には、契約などにおいて利用できる範囲をできるだけ明確に定めておくように心がけることが重要です。

利用権の当然対抗

2020年の著作権法改正で、利用許諾を受けた後に著作権が譲渡された場合でも、許諾を受けた者は著作権の譲受人等に対してその利用権を主張できるようになりました(著作権法63の2)。

本来「売買は賃貸借を破る」という原則からすれば、著作権が譲渡されてしまうと許諾に基づく利用ができなくなってしまうことになりますが、それでは許諾を受けた者の立場が不安定になってしまいますので、法改正により利用権の当然主張できるという対抗制度が導入されました。

ただし、法律上は利用権を対抗できると規定するのみで、ライセンス料の支払などのライセンス契約上の権利義務関係が承継されるのか否かについては、解釈に委ねられています。この点に関する裁判例もまだ十分ありません。

なので実際のビジネスでは、著作権譲渡が行われた場合の取扱いを契約で決めておくなどの対応が必要です。

また、著作権の譲渡の場面では、当該著作権について第三者への利用許諾がなされているか否かについて、これまで以上に慎重に確認をすることが必要になってきます。