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グローウィル国際法律事務所
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定額通い放題サービスについて事業者が押さえるべき法律

IT企業のための法律

定額通い放題サービス

定額通い放題サービスは、利用者が定額の利用料金を支払うことで、一定期間内や規定の回数内で追加料金なく美容院など店舗による施術を受けられることを内容とするサービスです。

美容院などで受けるサービスは、頻度の多寡こそあれ、定期的に利用する機会の多いサービスなのでサブスクリプションになじむ業態ともいえます。

例えば、美容院のサービス内容として、カットや、カラー、パ。ーマ、トリートメントなど、利用者によって多様なニーズが生じるものであることもあり、利用者のニーズに合わせて複数の料金プランを用意しているものが多くあります。

そのため、例えば前髪のみを定期的にメンテナンスしたいというようなライトユーザーから、トリートメントやヘッドスパ等を含むリッチなケアを継続して利用したいというような利用者まで多くの人のニーズに対応できることが特徴です。

また、上記のような施術のみではなく、シャンプーやトリートメントなどの商品を試したり、購入したりすることがサービス内容に含まれる場合もあります。

近年では性別問わず美容への意識が高まっていることからも、定額でいろいろな施術や商品を気軽に試せる定額通い放題サービスは今後ますます需要が伸びる可能性があるサービスであるといえます。

法律上の注意点

契約関係

ここでは美容院の通い放題サービスを念頭において、解説していきます。

美容院が提供する主たるサービスである美容とは「『パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること』とされており、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれる。

なお、美容師がカッティングを行うことは差し支えない。」(美容師20、厚生労働省「美容師法の概要」)とされており、美容行為が広く含まれています。

美容院と利用者との契約関係が、美容行為の提供に関する契約だとして、施術行為だけなのか、トリートメントやカラーも含むのか等、何をどこまで提供するのかについては利用規約等において明確にしておく必要があります。

美容院の定額通い放題サービスは、美容院と美容院で施術を受けることを希望する利用者との契約締結の場所を提供するプラットフォームサービスとして提供する場合もあります。

その場合、施術の内容に関し、美容院と利用者との直接の契約関係に立たないということについて明確にする必要があります(場合によっては、利用規約等で事業者のプラットフォーマーとしての立ち位置を明記するという方法もあり得ます。)。

トラブル・キャンセル対応

自社が提供する場合は、トラブル予防のためにサービス提供内容を明確にすることは前述のとおりですが、プラットフォーマー事業者として提供する場合は、定額通い放題サービスに参加する美容院との間で、定額通い放題サービスに美容院として提携することについての条件について契約を結ぶとともに、利用者との間で定額通い放題サービスの利用条件について契約を結ぶという関係に立ちます。

事業者としては、美容院と利用者との間の取引や、施術の仕上がり、トラブル等についてどこまで責任を負うのかという範囲を明確にしておくとともに、提携する美容院の質の担保、利用者への禁止事項等を定め、トラブルを未然に防ぐことが望ましいです。

特に、サービスの性質上予約のキャンセルが起こることが予想されるため、提携する美容院及び利用者双方との間で矛盾のないキャンセルポリシーをあらかじめ定めておく必要があります。

未成年者との契約

また美容院の定額通い放題サービスはその性質上、幅広い年齢層に利用されることが想定されており、未成年者の利用も多いと考えられます。

民法上、保護者の同意のない未成年者との契約は取り消される可能性があるため、会員登録などの際に生年月日を入力させることにより年齢確認を行うとともに、保護者の同意がない場合にはサービスを利用できないことを明示する、利用可能金額の上限を定めておくなどの方法により、取消しのリスクを減らすことが望ましいです。