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ネットで「ブラック企業」認定をされた!?ネガティブワード(誹謗中傷)による風評被害への対処法とは?【2022年9月加筆】

IT企業のための法律

そもそもブラック企業ってなに?

ブラック企業」という造語も、今やすっかり根付いてきました。

元々は、反社会的勢力との繋がりがある企業や従業員を使い潰すような大企業に対して使われていた言葉でしたが、今ではその意味・定義もかなり広く解釈されるようになってきています。

客観的に見て、自社が「ブラック企業」であると思える場合は、その是正が必要なのは明らかですが、もし、「ブラック企業」とは言えないのに、不当にレッテルを貼られている場合、会社はどの様に対処すればよいのでしょうか?

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「ブラック企業」の定義とは?

労働問題などの所管官庁である厚生労働省では「ブラック企業」の具体的な定義はしていません。

そのため、「ブラック企業」とは、法令違反の有無や各社内情などを、労働者や時には一般人が各々の自己判断で決めているという、実にあいまいなものなのです。

「ブラック企業」の基準とされている事項とは

行政は具体的な定義はしていませんが、世間一般は主に次のような事項の有無によって「ブラック企業」であるかを判断することが多いようです。

労働時間

  • 残業時間が過労死ライン(80時間)に匹敵もしくは超えている
  • 年間休日が極端に少ない

賃金

  • 残業は全てサービスもしくは残業時間に見合っていない固定残業制
  • 給与が極端に少ない

その他

  • 過度なノルマ
  • 各種ハラスメントの横行
  • 不当解雇や不当に退職させない
  • 労働関係法令に限らず、違法行為をしている
  • 過労死・自殺の事例がある

これらは、ネット上などで数多く挙げられている定義の中の、根本的な部分を挙げたにすぎず、実際は多種多様な理由、時には個人的な理由により「ブラック企業」認定されることもあるようです。

自社が「ブラック企業」とネットで書かれていたら

では、自社を検索すると、「株式会社●● ブラック」「株式会社●● パワハラ」などといったネガティブワードが表示されたり、2ちゃんねるやリクナビ・マイナビなどのサイト内に同様の書込みがされていた場合、どうしたらよいのでしょうか?

事実の場合には、根本を解決する必要がありますが、全くの事実無根であるならば、専門家による削除要請の依頼を検討しましょう。

ネガティブワードを放置することは、採用率の低下はもちろんのこと、会社の評判の低下による受注率の低下や既存取引先からの契約打ち切りなどからくる売上の低下などといった経営の根幹を揺るがす事態にもなりかねません。

「ブラック企業」対策には社労士や弁護士を頼りましょう

世の中には、いろいろな名前のコンサルタントが存在しますが、やはり労務のことなら社労士、法律のことなら弁護士への依頼を検討しましょう。

2017年の2月に、いわゆる「削除代行業者」によるインターネット記事の法的削除の代行は違法であるとの判決が下されました。

つまり、弁護士以外が対価を受け取り、ネット記事の削除をすることは違法行為に当たるということです。

削除代行業者には、刑事罰が下されることになります。これの何が問題かというと、ただでさえ「ブラック企業」認定により風評被害を受けているうえに、削除を依頼した先が違法業者であったために、「あの会社は違法削除代行業者を使ってネガティブワードの削除をしている」といったように、かえって被害が拡大してしまう恐れがあるということです。

そのため、「ブラック企業」と書かれていることが事実なのであれば、社労士と共に改善し、全くの事実無根、又は是正済みであるのであれば、弁護士と共に削除要請をすることが、風評被害の縮小や「ブラック企業」イメージを払拭するより良い手段と言えるでしょう。

まとめ

「ブラック企業」の定義は曖昧であることから、実は世間から「ブラック企業」として認識されていたといったことも少なくありません。

事実であっても、根も葉もない噂であっても、見過ごすわけにはいきません。どちらにせよ、会社としてはしっかりとした対応が必要となるでしょう。