日常生活に用いられる製品のうち、一般消費者の生命・身体に対する危険を及ぼすおそれがあるものについては、これまで消費生活用製品安全法による安全規制が行われてきました。
AI・ロボット製品は、今後ますます一般消費者の日常生活に浸透していくものと思われますが、一般消費者の日常生活に用いられるAI・ロボット製品についても、従来の消費生活用製品安全法の規制が当てはまるかが検討される必要があります。
消費生活用製品安全法の規制対象は、一般消費者の生活の用に供される「消費生活用製品」です。
「消費生活用製品」のうち、以下については「特定保守製品」とされています。
さらに、「特定製品」のうち、その製造または輸入の事業を行う者のうちに、危害発生防止のために必要な品質の確保が十分でない者がいると認められるものについては、「特別特定製品」とされています。
具体的な「特定製品」、「特別特定製品」、および「特定保守製品」については、消費生活用製品安全法施行令別表第一ないし別表第三において具体的な区分・品目等が指定されています。
特定製品の製造または輸入を行う事業者は、特定製品の形式の区分等法定の事項について、主務大臣への届出が必要です。
上記届出事業者は、特定製品を製造または輸入する場合、主務大臣が定める技術基準に適合させる必要があります。
届出事業者自身が特定製品について検査を行い、検査記録の作成・保存義務を負います。
届出をした特定製品が特別特定製品である場合には、届出事業者は、当該特別特定製品を販売する時までに、主務大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならず、かつ、当該特別特定製品が基準に適合する旨を記載した証明書の交付を受け、これを保存しなければなりません。
届出事業者は、特定製品の技術基準適合性について必要な検査等を行ったときは、当該特定製品にPSCマークを付することができます。
PSCマークの付されていない特定製品の販売や陳列は禁止されており、これに違反した場合には販売した当該特定製品の回収を図ること等の危害防止命令の対象となり得ます。
特定保守製品の製造または輸入を行う事業者は、届出義務のほか、点検期間を設定して、これを製品に表示しなければなりません。
特定保守製品の引渡し時にも法定の事項の説明義務を負います。
また、特定製造事業者等は、特定保守製品の点検その他の保守を適切に行うために必要な体制を整備しなければなりません。
AI・ロボット製品のうち、一般消費者が家電量販店やホームセンター等で購入して生活の用に供することが想定されるものについては、消費生活用製品安全法の「消費生活用製品」に該当する可能性があります。
「消費生活用製品」に該当する場合、消費生活用製品安全法の上記規制のうち、重大製品事故の報告義務等を負うことになります。
なお、事業者が業務用としてAI・ロボット製品を製造又は輸入した場合であっても、その製品の仕様や販路等から判断して、一般消費者がホームセンター等で容易に購入可能で、一般家庭でも使用できるような製品であれば、消費生活用製品として扱われる可能性があります。