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仮想通貨交換業登録申請の最新状況について仮想通貨(Fintech)に詳しい弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

状況が変わる仮想通貨交換業登録申請

仮想通貨ビジネスを行うに当たり、必要な仮想通貨登録申請が必要となります。当法律事務所でも10社ほど、仮想通貨交換業登録申請のサポートをしております。

また、仮想通貨交換業登録申請については、このブログ記事でも伝えてきました。

「仮想通貨交換業」登録申請の具体的な手順を弁護士が解説
仮想通貨交換業の登録業者が発表!登録申請の現状を仮想通貨に詳しい弁護士が解説

仮想通貨をめぐる法律の環境は、目まぐるしく変わります。先日も、ICOについては、金融庁への事前協議が必要になりました。

金融庁からICOに関する注意喚起が発表!ICOに関する法律まとめ

仮想通貨交換業についも、最近になり、当初とは事情が異なってるので、最新の仮想通貨交換業登録申請ついて、解説していきます。

STEP1)金融庁・仮想通貨モニタリングチームと各地方財務局に連絡

まず、東京などの関東の事業者は、金融庁の仮想通貨モニタリングチームの担当者に連絡してください。
地方の方は、各地方の財務局(近畿財務局とか)に連絡を。

担当者の方に電話をすると、事前に所定事項を記載した書面を提出してくださいといわれます。

ここまでは、従来と変わらないのですが、事前に提出する書面が、以前と比べて、かなり増えています。

以前は、会社概要などの簡単な書類を提出し、すぐに面談し、その後、必要書類については、順次揃えていきましょうという流れだったのが、現在は、書面などを一式揃えてから面談という形になっています

面談前に揃える書類についても解説をしておきたいと思います。

1:仮想通貨交換業の登録申請用紙を全て記入

従来は、面談後で申請用紙の記入については、最初の段階で求められることになりました。

2:仮想通貨交換業登録申請者の概要

この書類には、以下のことを記載する必要があります。

  • 仮想通貨交換業に参入するに至った経緯(理由)
  • 仮想通貨交換業にかかる業務運営態勢
  • 犯罪収益移転防止法にかかる取引時確認及び疑わしい取引の届出を行うための態勢
  • 疑わしい取引の検出基準等
  • システム障害及びサイバーセキュリティ事案への対応
  • 内部管理体制

以上のように、この書類は、金融庁のガイドラインの全項目を簡潔に記載する必要があります。

金融庁ガイドライン

3:金融庁ガイドラインに沿った166項目にも及ぶ審査内容のチェックリスト

仮想通貨交換業登録の申請をする企業が、もっとも苦戦する166項目にも及ぶチェックリストを記入する必要があります。

4:約20にも及ぶ社内規則

社内規則の例としては、以下の通りです。

  • 倫理規程、コンプライアンス・マニュアル
  • 取引時確認等の措置マニュアル
  • 疑わしい利用者や取引等の規則
  • 利用者保護措置規程
  • 反社会的勢力による被害の防止に関する社内規則
  • 分別管理に関する社内規則
  • 帳簿書類に関する社内規則
  • 利用者情報管理に関する社内規則
  • 苦情等への対処に関する社内規則
  • 金融ADR制度への対応に関する社内規則
  • システムリスク管理に関する社内規則
  • 外部委託に関する社内規則

5:仮想通貨の該当性・適切性説明を求める書面

自社で取り扱う予定の仮想通貨について、そもそも法律上の「仮想通貨」に当たるのか、そして、取り扱うことが適切なのかの見解を記載する必要があります。

ビットコインやイーサリアムなどのメジャーなコインであれば、問題ないですが、マイナーなコインを扱う予定の予定の事業者は、こちらを詳しく書く必要があります。

6:財産的基礎についての説明

3年間の収支見込みを記載する必要があります。

金融庁としては、収支見通しについて、競合者の参入、システムの陳腐化等、環境の悪化に伴う対応方策が確立しており、その場合でも一定の収益を見込めるような計画となっているかなど、細かい点をチェックされますので、気を付けて作成しましょう。

7:利用者財産の分別管理についての説明

仮想通貨交換業者は、利用者から預かる財産と自社の財産とを厳格に分けて、管理する必要があります。

よって、申請段階でも、事業者は、どのように分別管理をするかの書面を提出する必要があります。

8:苦情処理措置及び紛争解決措置

利用者からの苦情がきた場合に、どのように解決するのかを記載する必要があります。

STEP2)金融庁or財務局担当者の方との事前面談

次に、仮想通貨モニタリングチームや各地方財務局との担当者の方と面談が行われます。

以前は、面談前に提出する書類が簡単なものだったので、初回面談は、ビジネスモデルの質問などの一般的なものでしたが、今は、上記の通り、面談前に詳細な資料を提出しますので、面談も実際の登録審査に必要な事項が聞かれます

以下のような質問がされ、面談時間も以前より長い2時間~2時間30分ほど、みっちりと質問されます。

  1. 「内部管理」「内部監査」は、どこの部署・部門が行うのか
  2. 外部監査は、どうなっているのか
  3. 本人確認措置は、どこの部門が行うのか
  4. 分別管理の方法は?
  5. 反社チェックは、どのように行うのか
  6. 犯収法の取引時確認、疑わしい取引の方法は、どのようにして行うのか
  7. 紛争解決措置は、いかなる方法で行うのか

金融庁の事務ガイドラインなど、仮想通貨交換業登録で必要な要件を押さえていないと、回答できない内容ですので、きちんと対策をしましょう。

STEP3)書面などのドラフト審査

面談が終わると、STEP1で提出した書面について、事前に審査がされます。また、会社の内部体制などについて、金融庁側から質問のメールなどがきます。

金融庁からは、かなり細かい指摘が入り、その都度回答しないと、先に進めません。一刻も早い登録を目指すのであれば、迅速に処理していく必要があります。

この期間は、金融庁からの要請に、会社側が迅速に対応しても、2~3か月程度かかります。

STEP4)本申請

上記のドラフト審査を通過して、初めて本申請になります。

この本申請の結果が出るまでですが、現在、申請も混んでいるようで、2~4ヶ月程度かかります。

仮想通貨交換業登録申請は、早めにした方が良い!

以上のように、仮想通貨交換業登録申請は、その方法が目まぐるしく変わっています。

一ついえるのは、当初に比べて、申請のハードルが確実に上がっていること。今後も、申請のハードルが厳しくなっていくことが予想されます。

また、現在も、仮想通貨交換業登録申請業者が増えており、金融庁側でもマンパワーの関係で、書類などのチェックに時間がかかっています。

仮想通貨交換業申請をお考えの事業者、早めに申請した方がよいといえるでしょう。