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「仮想通貨交換業」登録申請の具体的な手順を弁護士が解説

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

「仮想通貨交換業」登録の申請の手順を解説

4月1日の仮想通貨法の施行に伴い、仮想通貨交換業を行いたい事業者は、「仮想通貨交換業」の登録申請をする必要があります。

仮想通貨法が4月1日施行!仮想通貨事業者が準備すべきポイントまとめ

私のクライアントも、この交換業登録を取得するべく、奮闘しておりますが、これから取得手続きをする方は、どのような手続きを踏むのか、どこに気をつければよいのかを解説します。

STEP1 各都道府県の関東財務局に電話

「仮想通貨交換業」の登録申請の窓口は、財務省の財務局になります。

自社の所在地を管轄している財務局に「仮想通貨交換業を申請をしたい」旨の連絡を入れてください。東京都の事業者は、関東財務局 東京財務事務所 理財第4課に電話しましょう。

新規登録申請等に関する相談・申請窓口一覧

STEP2 事前書面の準備

担当者の方に電話をすると、事前に所定事項を記載した書面を提出してくださいといわれます。

その書面とは、以下の通りです。

  1. 会社概要(株主、役員、職員数、組織体制、財務内容(資本金、純資産、収益)など)
  2. 交換業スキーム図(形態(売買、交換、媒介、取次、代理のどれか)、差金決済取引の有無、取り扱う仮想通貨、交換業の開始時期、対象ユーザーも含む)
  3. 仮想通貨の該当性・適切性説明

書式のフォーマットは、担当者の方が送ってくれます。この書面はSTEP3の面談の際に使うので、非常に重要です。

この書類に不備があると、次のSTEP3に進むことができませんので、しっかりと記載するようにしましょう。

また、この段階で、公表されている申請書類についても、記載をして事前に送っておいた方がよいです。その方が、STEP3の面談の際に、より突っ込んだ議論ができるので、非常に有用です。

http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20161228-4/22.pdf
http://www.fsa.go.jp/news/28/ginkou/20161228-4/29.pdf

STEP3 財務局担当者の方と面談

次に、財務局担当者の方と面談が行われます。場所は、財務局です。ちなみに、関東財務局 東京財務事務所は、湯島にあります。

東京財務事務所 所在地・交通アクセス

この面談では、金融庁の事務ガイドラインに沿った運用ができているのかの確認が行われます。

たとえば、以下のような内容について聞かれます。

  1. 「内部管理」「内部監査」は、どこの部署・部門が行うのか
  2. 外部監査は、どうなっているのか
  3. 本人確認措置は、どこの部門が行うのか
  4. 分別管理の方法は?
  5. 反社チェックは、どのように行うのか
  6. 犯収法の取引時確認、疑わしい取引の方法は、どのようにして行うのか
  7. 紛争解決措置は、いかなる方法で行うのか

などなど、約1時間30分にわたって、みっちりと質問されます。

金融庁の事務ガイドラインを、しっかり読み込み、理解しないと全く回答できない内容ですので、きちんと対策をしましょう。

STEP4 ドラフト審査

面談が終わると、申請書の書き方の見本と審査内容のチェックリストが渡されます。

それに沿って、申請を進めるのですが、本申請の前に、担当者の方に、申請書を書いて、ドラフト審査を受ける必要があります。このドラフト審査を通過しないと、本申請ができません。

ドラフト審査は、メールベースで行われ、申請書及び社内規則などの必要資料を提出し、担当者の方が不備を指摘し、それをまた修正して、提出といった作業が必要になります。

ちなみに、このドラフト審査ですが、現在非常に込み合っているようで、3~4ヶ月ほどかかります。早めの準備が必要です。

また、審査内容のチェックリストをみると、膨大な数の社内規則を作成する必要があります。一例を挙げると次のような規則を作成する必要があります。

  • 倫理規程、コンプライアンス・マニュアル
  • 取引時確認等の措置マニュアル
  • 疑わしい利用者や取引等の規則
  • 利用者保護措置規程
  • 反社会的勢力による被害の防止に関する社内規則
  • 分別管理に関する社内規則
  • 帳簿書類に関する社内規則
  • 利用者情報管理に関する社内規則
  • 苦情等への対処に関する社内規則
  • 金融ADR制度への対応に関する社内規則
  • システムリスク管理に関する社内規則
  • 外部委託に関する社内規則

それぞれの社内規則について、定める項目が10個以上あり、細かく定められています。ガイドラインに沿った社内規則を作成しないと、本申請をすることはできません。

STEP5 本申請

上記のドラフト審査を通過して、初めて本申請になります。

仮想通貨交換業の登録の申請

この本申請の結果が出るまで、1~2ヶ月かかります。

ドラフト審査から通算すると、4ヶ月~6ヶ月は、最低かかるので、早めに準備することが肝心です。

「仮想通貨交換業」の申請は、しっかりした準備を

以上にように、仮想通貨交換業の申請作業は、非常に大変です。

  • 法律の要件の検討
  • 金融庁ガイドラインの深い理解
  • 社内規則の整備
  • 担当者とのやり取り

数々のハードルを潜り抜ける必要があります。

仮想通貨交換業の申請をお考えの事業者は、しっかりとした準備をするようにしましょう。